デッドリフトは、広背筋や僧帽筋といった「背筋群」を最も効果的に鍛える種目の代表的なメニュー。
鍛えられる部位が多いため、筋トレの基本的かつ代表的なトレーニングである「BIG3(デッドリフト・スクワット・ベンチプレス)」に含まれます。
高い効果を誇るデッドリフトには、実はさまざまな種類やバリエーションが存在するのをご存知でしょうか?
デッドリフトのバリエーションはそれぞれ異なる効果を持ちます。
そのため、覚えておけばより効率的な筋トレに取り組めますよ。
今回は、デッドリフトのバリエーションや種類、そしてその特徴について解説します!
この記事の目次
デッドリフトで鍛えられる部位や筋肉について
はじめに、デッドリフトトレーニングで鍛えられる部位と筋肉について解説します。
バーベルデッドリフトで鍛えられる部位は非常に多く、ざっくりと言うと「上半身と下半身の背面側に位置する筋肉」のほとんどです。
デッドリフトは、主に背中の筋肉「背筋群」を中心に鍛える種目。
そのため、背筋の「広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋」を中心に鍛えます。
下半身の筋肉では、太もも裏側に位置する「ハムストリング」太もも前側に位置する「大腿四頭筋」お尻の筋肉である「大臀筋」が鍛えられますよ。
背中の筋肉・背筋群
デッドリフトに多くのトレーニーが取り組む理由の一つが、背中の筋肉「背筋群」全体を効果的に鍛えられること。
厳密に言うと関わる背筋群は多岐にわたりますが、ここではその中でも特に代表的な部位について解説しますね。
【広背筋】
広背筋は脇下に位置する筋肉で「逆三角形の背中・Vシェイプのある上半身」を作る筋肉の一つ。
背筋の中でも代表的な部位です。
「背中の広がり」を作る上で大切な部位でもあります。
【僧帽筋】
僧帽筋は、首の付け根から肩を通って背中の中央まで位置する上背部を覆う筋肉。
肩甲骨の動作全般に関わります。
上背部の厚みや迫力を強調する上で欠かせない部位です。
【脊柱起立筋】
脊柱起立筋は、背中の中央に縦長く位置する筋肉で、脊柱を伸展(伸ばす)作用をもちます。
そのため、適切な姿勢維持や四肢動作の安定化に必要な筋肉です。
脚の筋肉・大腿四頭筋・ハムストリング
デッドリフトでは背筋群がメインターゲットですが、脚の筋肉である大腿四頭筋やハムストリングといった部位も同時に鍛えられます。
また、デッドリフトのバリエーションによっては、脚の筋肉がメインとなるものも存在します。
これに関しては後で解説しますね。
【大腿四頭筋】
大腿四頭筋は、太もも前面に位置する筋肉。
膝を伸ばす動作「膝関節伸展」の主動筋として作用します。
この大腿四頭筋は、脚の筋肉の中でも特に目立ちやすい部位です。
そのため、鍛えることで「太い脚・たくましいレッグライン」を強調できます。
また、歩行動作や下半身を動かす動作全般に関わるため「日常生活・スポーツ競技」などにおいても重要な働きを持ちますよ。
【ハムストリング】
ハムストリングは、太もも後面に位置する筋肉で、膝を曲げる動きに作用します。
ここを鍛えることで「太もも痩せ・ヒップアップ」を強調可能!
後ろから見た脚の美しさを強調する上で欠かせない部位です。
大腿四頭筋と同じく下半身を動かす動作全般に関わるため、大腿四頭筋と共に鍛えることで身体機能のパフォーマンス向上に期待できます。
お尻の筋肉・臀筋群
デッドリフトで鍛えられる下半身の筋肉に含まれるのが、お尻を構成する筋肉「臀筋群」です。
中でもデッドリフトでは大臀筋と中臀筋に刺激を送れます。
【大臀筋】
大臀筋は、お尻全体を覆うように位置する筋肉。
いわゆる「お尻」ですね。
代表的な部位です。
大臀筋を鍛えることで「ヒップアップ」が期待できますよ。
スポーツ競技においては「ジャンプ力」に大きく関与するため、バスケットボールやバレーボールといった競技では重要です。
【中臀筋】
中臀筋は、お尻の側面上部に位置する筋肉で「お尻の丸み」を強調する上で欠かせない部位です。
大臀筋と比較すると注目されづらい部位ではありますね。
しかし中臀筋はお尻上部から丸みある形を形成するため、ボディメイク上大切な部位です。
なぜ多くのトレーニーがデッドリフトに取り組むのか?
背筋群を鍛える種目は数多く存在しますが、その中でもデッドリフトは基本的な種目として多くのトレーニーの間で取り組まれています。
その理由について、ここで解説しましょう。
理由①全ウェイトトレーニング種目の中で最大の重量を扱えるから
デッドリフトは、全ウェイトトレーニング種目の中でも「最大の重量」を扱えるのが特徴です。
扱うウェイトの重量が重ければ重いほど、対象となる「筋肉に掛かる負荷もより高強度」となるため、高い筋トレ効果に期待できます。
また、デッドリフトで鍛えられる背筋の主要な筋肉は、人体を構成する筋肉の中でも「体積の大きい筋肉」です。
つまり、その分強い力を発揮できるのですね。
このことから下半身の筋肉と高重量を利用できるデッドリフトとの相性はいいとも言えます。
理由②背中の厚みを作る上で最も効果的だから
前述したように、背筋群を最も高い強度で鍛えられるのがデッドリフトです。
利用できる重量が多い分、背筋に掛かる負荷も他の種目とはケタ違いに強烈!
つまり、背中の厚みを作る上で最も効果的な種目なのです。
デッドリフトが試技種目として行われている重量挙げ競技「パワーリフティング」においても、選手は見事に分厚い背中を持っています。
それは、日々の高重量を利用したデッドリフトに取り組んでいるからこそなのですね。
理由③体積の大きい筋肉群を鍛えるため基礎代謝向上に期待できるから
デッドリフトで鍛えられる背筋群や下半身の筋肉の多くは、人体の中でも体積の大きい筋肉が多いのが特徴です。
体積が大きい分、動かすには相応のエネルギーが必要となります。
そのため、デッドリフトに取り組み続けることで「基礎代謝向上」にも期待可能です。
基礎代謝が上がれば「痩せやすく太りにくい体質」へと変化していくため、ダイエットや減量といった目的に対しても効果的なトレーニングと言えますよね。
背中・下半身の主要な筋肉群を効率的に鍛えられるのが、デッドリフトの最大の特徴です。
理由④筋肉の合成に必要不可欠な成長ホルモン・テストステロン値の向上に期待できるから
体積の大きい背中と下半身の筋肉を高強度に鍛えることは「成長ホルモン・テストステロン」の分泌促進にも効果的です。
筋肉の合成に必要不可欠な成長ホルモンとテストステロンの分泌が促進されることで、さらなる「筋肥大効果」に期待できるのですね。
体積の大きい筋肉を最も高い強度で鍛えることができるデッドリフトは、他の種目とは比べられないほど高い効果に期待できます。
デッドリフトのバリエーション種目17選!
ではデッドリフトの数ある効果的なバリエーション種目について解説します!
17個あるので、順番にみていきましょう。
トラップバー・デッドリフト
通常のオリンピックバーを利用したデッドリフトでは、ウェイトの重心が前方に掛かりやすくなるため「腰への負担が大きい」というデメリットがあります。
そこで、トラップバーを使いましょう!
トラップバーは重心が体の中央に掛かるよう設計されたバーです。
そのため、この種目は「腰への負担が少ない」のが特徴なのですね。
また、通常のバーと比較すると可動域を広く確保できるため、より自然な関節動作で動作に取り組めることも特徴となっています。
【やり方】
- トラップバーにプレートウェイトを装着し、バーを持って直立する
- 肩幅程度の足幅で直立し、背すじを伸ばしたまま上半身を前傾させる
- 膝を曲げ、腰を後方へ引きながら上半身を前傾させる
- バーが床についたら、背筋の力によって上半身を起こしながら膝を伸ばして直立する
ルーマニアン・デッドリフト
ルーマニアンデッドリフトは、通常のデッドリフトと比較すると「膝を伸ばし気味」で行います。
下半身の筋肉への負荷を強めたやり方ですね。
通常のデッドリフトよりも、ハムストリングや大臀筋、脊柱起立筋への負荷が高まります。
特に「下半身の背面側に位置する筋肉」をメインに鍛えたい場合に利用されるため、下半身強化としておすすめです。
【やり方】
- 肩幅程度の手幅でバーベルを握り、肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま、上半身が床と平行になるまで前傾させる
- 膝を軽く曲げますが、極力伸ばし気味で動く
- ハムストリングの力を意識して上半身を起こす
- 直立するタイミングで膝を伸ばす
シングルレッグ・ルーマニアンデッドリフト
上で解説したルーマニアンデッドリフトと同じ動きを、片脚だけで行うバリエーションです。
片脚立ちの姿勢のままルーマニアンデッドリフトを行うことで、軸足側のハムストリングや殿筋群が集中的に鍛えられます。
また、片側ずつ集中的に鍛えられるため「体幹力・バランス力」も同時に鍛えられますよ。
【やり方】
- 片手または両手でダンベルを持って直立する
- 片側の足を床から浮かせて後方に伸ばす
- 片脚を後方に伸ばすと同時に、上半身を床と平行になるまで前傾させる
- 浮かせた片脚と上半身が一直線になるようにする
- 軸足側のハムストリング・殿筋群を意識して上半身を起き上げる
- 上半身を起き上げると同時に浮かせた側の片脚も元の位置に戻す
ダンベル・デッドリフト
通常のデッドリフトでは「バーベル」を利用して行いますが、この種目では「ダンベル」を利用します。
ダンベルはバーベルよりも高重量を利用できないものの、より広い可動域を活かせるアイテムです。
そのためこの種目の特徴は、背筋群の完全収縮と完全伸展を行えること。
また、バーベルを利用できない状態でもダンベルが1セットさえあれば取り組めるため、家トレ種目としてもおすすめですよ。
【やり方】
- 両手にダンベルを持ち、肩幅程度の足幅で直立する
- ダンベルは体の側面に位置させておく
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げて上半身前傾させる
- 上半身が床と平行になる程度まで前傾させる
- 背筋群の力を意識して上半身を起き上げ、肩甲骨を寄せて収縮させる
スモウ・デッドリフト
スモウデッドリフトは、通常のデッドリフトよりもよりワイドな足幅になり、力士が四股を踏むような姿勢で行います。
足幅が広がることで、下半身の対象筋の中でも特に太もも内側に位置する「内転筋群」やお尻の「大臀筋・中臀筋」を中心に鍛えられるのが特徴です。
下半身を強化したい場合におすすめな種目ですよ。
【やり方】
- 肩幅の1.2~1.5倍程度の足幅で直立する
- バーベルを肩幅程度の手幅で持つ
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げながら上半身を前傾させる
- 膝を曲げるさい、膝が内側に入らないように注意する
- バーが床についたら、内転筋の力を意識して元の位置に立ち上がる
スナッチグリップ・デッドリフト
この種目では肩幅の2倍程度の広い手幅でバーベルを握り、デッドリフトを行います。
両腕の位置が体幹部から離れたまま動作を行うことになるため「肩関節・肩甲骨周辺の可動域が広がる」のが特徴です。
肩甲骨を寄せる「肩甲骨内転」も加わるため、メインの僧帽筋・三角筋後部・菱形筋といった部位への負荷が高まりますよ。
【やり方】
- バーベルを肩幅の2倍程度の手幅で握り、肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま膝を曲げて上半身を前傾させていく
- バーベルが床についたら、背筋の力を意識して立ち上がる
- 立ち上がると同時に、肩甲骨を寄せる動作を意識して背筋を収縮させる
ディフィシット・デッドリフト
この種目は、プレートや高さのある台の上でデッドリフトを行うことで、より広い可動域を活かして高強度に鍛えられるやり方。
主に重量挙げ競技の「パワーリフティング」におけるデッドリフトの強化トレーニングとして活用されることが多い種目です。
床の上で取り組む場合よりもバーベルを低い位置に下げられるため、対象となる部位への負荷を高められます。
【やり方】
- プレートや10cm程度の高さのある台を利用するが、不安定な台を利用すると怪我の原因になるため、安定性の高い台を選ぶ
- 台の上に肩幅程度の足幅で直立し、肩幅程度の手幅でバーベルを持つ
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げて上半身を前傾させる
- バーベルのプレートが床に触れるまでおろしていく
- プレートが床に触れたら、背筋・下半身の力で立ち上がる
ブロック・デッドリフト
この種目は、ブロック(箱)をプレートの下に置き、バーベルが床より高い位置にある状態でデッドリフトを行うバリエーション。
バーの位置が床に置いた場合よりも高い位置からのスタートとなるため、可動域は狭くなる反面より重い重量を利用できるのが特徴です。
床引きのデッドリフトで扱う重量よりも高負荷を利用できるため、主に「筋出力向上」に高い効果が期待できます。
【やり方】
- 15~20㎝程度の高さのある台の上に、バーベルを置く
- 目安はバーが膝下に当たる位置程度
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げて上半身を前傾させる
- バーベルを肩幅程度の手幅で握り、背筋の力を意識して立ち上がる
※いきなり高重量を利用すると怪我をする恐れがあるため、徐々に重量を重くしていきましょう。
ラックプル・デッドリフト
ラックプルデッドリフトは、別名「ハーフデッドリフト・トップサイドデッドリフト」とも呼ばれます。
「可動域を制限」したやり方ですよ。
特徴は、セーフティバーを好きな高さに調整できること。
一般的なスポーツジムで取り組む場合においても、パワーラックを利用したラックプルデッドリフトが取り組みやすくなっています。
【やり方】
- パワーラックのセーフティバーを好きな高さに調整する
- セーフティバーの上にバーベルを置き、バーの前に肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げて上半身を前傾させる
- バーベルを肩幅程度の手幅で握り、背筋の力を意識して立ち上がる
- バーを下すさいは、セーフティバーにゆっくりと下すようにする
スティッフレッグ・デッドリフト
この種目は「膝を伸ばした状態のまま」デッドリフトを行うことで、背筋や下半身の筋肉を鍛えるバリエーションです。
膝を伸ばし気味で行うルーマニアンデッドリフトと混合されがちですが、この種目では膝を伸ばした状態のまま取り組みます。
メインターゲットは下背部に位置する背筋脊柱起立筋で、サブターゲットはハムストリングと殿筋群です。
【やり方】
- 腰幅程度の足幅で直立し、バーベルを肩幅程度の手幅で持つ
- 膝は伸ばしたまま、上半身を深く前傾させていく
- バーが床につくギリギリまでおろす
- 下背部の力を意識して膝を伸ばしたまま上半身を起こし上げる
チューブ・デッドリフト
この種目は、トレーニングチューブやレジスタンスバンドなどによる張力による負荷を追加して行うバリエーションです。
チューブは、伸ばせば伸ばすほど強度が高まる「漸増性負荷」の作用を持つため、トップポジションで最大負荷が掛かるという特徴があります。
ボトムポジションでは負荷が軽くなるため、トップポジションで負荷が高まることで高強度に鍛えながらも回数を重ねられます。
【やり方】
- トレーニングチューブまたはレジスタンスバンドをバーベルに固定する
- チューブの中央部を両足で踏んで固定する
- 足裏でチューブを踏んで固定したまま、デッドリフトを行う
- バーベルを下した際にチューブにたるみが出ないように長さを調整しておく
スミスマシン・デッドリフト
この種目は、スミスマシンを利用したデッドリフトのバリエーション。
スミスマシンのバーは「軌道が固定されている」ため、細かなコントロールが必要なく「デッドリフトの挙上動作にだけ集中して行える」のが特徴です。
挙上動作にだけ集中できるため、対象筋を意識しやすく効率的に鍛えられます。
高重量を利用しやすいのも特徴の一つです。
【やり方】
- スミスマシンのストッパーを一番低い位置に調整し、バーの前に直立する
- バーがスネに当たる程度まで近い位置で、足幅は肩幅程度にする
- バーを肩幅程度の手幅で握り、膝を曲げて腰を落とす
- 次に、床を足裏で押すような意識で、バーを持ったまま直立する
スミスマシン・ルーマニアンデッドリフト
この種目は、ルーマニアンデッドリフトをスミスマシンを使って行うバリエーションです。
マシンによって軌道が固定されているため、対象となるハムストリングや殿筋群に負荷を集中させられるのが特徴。
通常のバーベルを利用したやり方ではうまく対象の部位に効かせることができない方は、スミスマシンを利用することがおすすめです。
【やり方】
- スミスマシンのストッパーを一番低い位置に調整し、バーの前に直立する
- バーがスネに当たる程度まで近い位置で、足幅は肩幅程度にする
- バーを肩幅程度の手幅で握り、膝を伸ばし気味にしたまま上半身を前傾させる
- ハムストリングのストレッチを感じたら、上半身を起き上げていくと同時に膝を伸ばす
チューブ・デッドリフト
この種目は、トレーニングチューブの張力による負荷を利用して行うバリエーション種目。
バーベルやダンベルといったフリーウェイト器具を利用したやり方よりも「腰への負担が優しい」のが特徴です。
トレーニングチューブは非常に軽量で柔軟性のある素材のため、携帯性に優れています。
そのため、家・公園・出張先ホテルといった場所にも気軽に持ち運んでトレーニング可能ですよ。
【やり方】
- チューブの両端・ハンドルを両手で持つ
- 肩幅程度の足幅でチューブの中央部を踏んで固定する
- 膝を軽く曲げて上半身を前傾させる
- このとき、チューブがたるまないよう長さを調整する
- 上半身が床と平行になる程度まで前傾させる
- その後、上半身を起こしながら膝も同時に伸ばす
スミスマシン・スティッフレッグデッドリフト
この種目は、下背部(脊柱起立筋)を中心に鍛えられるスティッフレッグ・デッドリフトのスミスマシンバージョンです。
特徴は、バーの軌道が固定されたスミスマシンを利用することで、対象となる「脊柱起立筋に集中的に負荷を加えられる」こと。
通常のバーベルを利用したやり方では動作が不安定になりやすい方は、スミスマシンを利用してみてくださいね。
【やり方】
- スミスマシンのストッパーを一番低い位置に調整し、バーの前に直立する
- 腰幅程度の足幅で直立し、肩幅程度の手幅でバーを持つ
- 膝は伸ばして固定したまま、股関節を軸に上半身を深く前傾させる
- バーベルが床ギリギリまで下りたら、脊柱起立筋の力で上半身を起き上げる
ケトルベル・デッドリフト
この種目は、フリーウェイト器具であるケトルベルを利用して行うバリエーション。
ケトルベルを利用することで、バーベルを利用した場合と比べてバーと膝下の干渉を受けません。
そのため、関節の自然な動作で取り組めるのが特徴です。
また、ハンドル(持ち手)から重心が離れた位置にあるため、より体幹部への負荷が高まります。
体幹トレーニングとしてもおすすめ。
【やり方】
- ケトルベル一つを両手で持ち、肩幅よりも広めの足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま、膝を曲げて上半身を前傾させる
- ケトルベルが床につくギリギリまでおろし、背筋の力を意識して立ち上がる
- 膝を曲げるさいは内側に膝が入らないよう注意する
リーブス・デッドリフト
リーブスデッドリフトは、伝説のボディビルダー「スティーブ・リーブス」が好んで行っていたことでその名が付きました。
バーベルを握るのではなく「左右のプレートを掴む」ことで可動域(立ち上がる範囲)をより広くとれるため、背筋群への負荷高まるのが特徴です。
また、プレートを挟み持つことで「前腕筋の強化」にもなります。
背筋と前腕を同時に鍛えられますよ。
【やり方】
- バーベルの左右のプレートを両手で挟み持つ
- 肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま膝を曲げて、バーが床につくギリギリまで深く上半身を前傾させる
- その後、背筋の力を意識して上半身を起こしながら膝を伸ばす
デッドリフトの筋トレ効果を高めるためのコツ!
では、デッドリフトの筋トレ効果をより高めるためのコツについて解説します。
7つありますので、順番にみていきましょう。
コツ①オルタネイトグリップでバーを握る
オルタネイトグリップとは、左右の手を「順手・逆手」でバーを握るグリップ法。
高重量のバーベルを素手に握った状態で動くデッドリフトでは、握力の低下がよくある問題です。
ターゲットである背筋群に負荷が加わるより先に、前腕が疲れてしまって握力が低下し、バーベルを握り続けられないのですね。
多くの場合、トレーニングの続行が困難になってしまいます。
こういった場合、オルタネイトグリップを採用すると「グリップ力が向上」するため、少ない握力でもバーを握り続けることが可能です。
コツ②腹圧の力を使う
腹圧とは「腹腔内の圧力」のこと。
力を出す前に大きく息を吸って息を止め、腹筋に力を入れて腹圧を高めることで、体が一本の棒のように芯が通って体幹部が安定します。
腹圧が高ると安定力が向上し、バーベルを挙上する力が逃げることなくパワーを伝えられるため、より重い重量を扱えるのです。
また、腹圧が高まると背骨を伸ばすことになるため、バーベルによる負荷で背中が丸まったり反ったりすることを防げます。
結果的に「腰の怪我を抑制できる」ため、腹圧を掛けた状態でデッドリフトに取り組むようにしましょう。
コツ③腕の力は極力抜いた状態で行う
高重量のバーベルを持ち上げようと意識すると、ついついバーベルを持つ腕にも力が入ってしまいがち。
しかし、バーを握る前腕筋や上腕二頭筋、上腕三頭筋の力を入れすぎてしまうと、背筋群への負荷が分散してしまいます。
それだけでなく、必要以上に腕に力が入ってしまうとバーベルを挙上できる最大挙上重量も落ちてしまうのですね。
デッドリフトを効果的に行うために、「腕はないと思って引く」感覚で動いてみましょう。
そうすれば、背筋群の力を100%使って取り組めます。
コツ④ニュートラルスパインを意識する
ニュートラルスパインとは「正しい体のライン・正しい骨の位置」こと。
何も持っていない状態で普通に直立した姿勢が、ニュートラルスパインです。
背中の本来もつ曲線と角度を維持したまま、まっすぐと適切な背中の曲線でデッドリフトに取り組むことで「腰への負担を軽減」させられます。
これが、動作中に背中が丸まったり・反ったりしてしまうと腰や脊柱に過度な負担がかかるため、腰痛やすべり症の原因になりかねません。
デッドリフトに取り組むさいは必ず、まっすぐ背すじを伸ばした状態のまま動くように心がけましょう。
コツ⑤バーを下すさいはゆっくりと下す
ジムでデッドリフトに取り組む方の中には、バーベルを持ち上げた後、バーを下げるさいに勢いよく下して”ガチャン”と大きな音を立ててしまっている方がいます。
実は、デッドリフトの筋トレ効果を高めるコツとしてバーベルを下げるさいはゆっくりと静かに下すことが非常に大切です。
持ち上げたバーベルを力を抜いて一気に下してしまうのがNGな理由は、対象筋への負荷が抜けて筋肉の緊張が途切れるから。
そのため、対象筋への負荷を感じながらゆっくりとバーベルを下すことで「筋トレ効果を最大化」させられます。
コツ⑥いきなり高重量に挑戦しない
より高い筋トレ効果を引き出すために、負荷を高められるウェイトを増やすことは大切です。
しかし、いきなり高重量を利用するのはとても危険なこと。
慎重にならねばなりません。
デッドリフト系の種目はすべて「腰」を軸に動作を行うため、扱う重量の選択を間違えると「腰痛や怪我の原因」となりかねないからです。
また、ウェイトが重くなるのと効果が高まることは必ずしも比例しません。
重すぎる重量は「フォームの乱れ・崩れ」を引き起こすリスクがあります。
乱れたフォームのまま闇雲に高重量を利用しても「筋トレ効果は低く、怪我のリスクだけが高い」トレーニングとなってしまいます。
そのため、必ず「適切なフォームで取り組める範囲内で重量を選択」し、軽めの重量から徐々に重くしていくようにしましょう。
コツ⑦ランニング用(運動用)シューズを利用しない
スポーツジムに通う方の中には、一般的な運動靴(ランニング用)のシューズを利用している方もたくさんいます。
しかし、ランニング用のシューズは、アウトソールに「衝撃吸収材のクッション」が使われているものが多く、高重量のバーベルの利用には向きません。
デッドリフトやバーベルスクワットといったウェイトトレーニングでは、クッションが沈み込むと「体幹部の不安定化」や「足首・膝を痛める原因」になります。
ウェイトトレーニングでは必ず「底が薄く硬いシューズ」を利用しましょう。
またはシューズがなければ、裸足でトレーニングすることがおすすめです。
※ジムでは裸足でのトレーニングを禁止されている店舗もあるため要注意。
ウェイトトレーニングで利用したいトレーニングアイテム3選!
では最後に、高重量を扱うトレーニングで利用したいアイテムを3つご紹介しましょう。
- トレーニングベルト
- パワーグリップ
- リストラップ
ウェイトトレーニングで利用したいアイテム①トレーニングベルト
トレーニングベルトとは、腰を保護しながら、より高い筋出力を発揮してくれるためのトレーニングギアです。
お腹に巻くことで「腹圧」が高まり、腰の怪我から腰を保護する効果を発揮します。
また、腰を保護するだけでなく腹圧が高まることにより、筋出力も向上。
より重い重量を扱えるようになりますよ。
そのため、高重量トレーニングを行いたい方や腰が弱い方、腰に不安を抱える方はこのトレーニングベルトを有効活用していきましょう。
【関連記事】トレーニングベルトについてさらに詳しくはこちら♪
ウェイトトレーニングで利用したいアイテム②パワーグリップ
パワーグリップは、「引く動作」を要するトレーニングのさいに、握力のサポートに効果を発揮してくれるトレーニングギアの一つです。
パワーグリップを手首に通し、ベロの部分をバーべルに巻き付けてベロと一緒にバーべルを握ることで、少ない握力でも高重量のバーべルを持ち続けられます。
バーべルだけでなくダンベルやケーブルマシンにも活用可能。
基本的には引く動きがあるトレーニング種目全般に利用できます。
パワーグリップについてより詳細な内容を知りたい方は、下にある記事も合わせて確認しましょう!
ウェイトトレーニングで利用したいアイテム③リストラップ
リストラップとは、手首に巻き付けることで手首の関節を保護してくれるトレーニングギアの一つ。
これにより、高重量のウェイトを扱うさいでも必要以上に手首が反るのを防いだり、手首のブレを抑制したりができます。
結果的にウェイトを挙上するための力をダイレクトにウェイトに繋げられるため、手首の怪我のリスクを回避できます。
おわりに
背筋群や下半身の筋肉に効果的な「デッドリフト」の概要・バリエーション種目・コツなどについて解説しました。
それぞれの種目の特性・特徴を理解し、自身の理想とするボディメイクの上でどの種目に取り組むべきなのかを確認してくださいね。
デッドリフトに効果的に取り組むことで、理想とする肉体を実現させましょう!
“No pain No gain”
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AKI
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