背筋といえば広背筋や僧帽筋、脊柱起立筋などが代表的ですよね。
では皆さんは、「大円筋」をご存知でしょうか?
大円筋は、ボディメイク上だけでなく、私生活やスポーツ競技においても大きく関与する部位です。
今回は大円筋の作用と概要、鍛えるメリットやトレーニング法、そしてストレッチ法などについて、解説します。
この記事の目次
大円筋の作用・概要について
大円筋は、背中に位置する肩甲骨と、腕の付け根に近い上腕骨前面をまたいで位置する筋肉。
そして大円筋の上には「小円筋」があります。
大円筋と小円筋は、位置も名称も近いことから同じような筋肉と勘違いされがちですが、全く別物の筋肉部位です。
大円筋は、広背筋の停止部に近い位置に存在するため、広背筋と似た作用を持つのが特徴。
広背筋と協働する作用をもつため「広背筋のヘルパー」とも呼ばれています。
肩関節動作の「内転・内旋・伸展」といった動作に関与し、広背筋と協働しているのですね。
大円筋の作用と日常生活・スポーツシーンにおける関与
では、大円筋は実際に私達の生活の中でどのように関与しているのでしょうか。
【大円筋の作用】
- 「肩関節内転」
- 両腕を側方に開いた状態から、下方に向かって下す動作
- 「肩関節伸展」
- 両腕を前方に伸ばした状態から肘を伸ばしたまま腕を後方へ振る動作
- 「肩関節内旋」
- 肩を内側に回すことで上腕を回転軸に内側に回す動作
【日常生活における関与】
- 引くタイプのドアのドアノブを引いて開ける動作
- 床に置いてある荷物を体側に引き寄せる動作
【スポーツシーンにおける関与】
- 柔道の組手で相手を引き寄せる動作
- 水泳のクロールで水をかく動作
- ボクシングで打ち出したパンチを引く動作
- 短距離走で腕を後方へ振る動作
大円筋を効果的に鍛えるトレーニング5種目
続いて、大円筋を効果的に鍛えられるトレーニング種目について以下の通りに系統別に解説します!
- チンニング系種目
- ラットプル系種目
- リバースフライ系種目
- ローイング系種目
- プルオーバー系種目
チンニング(懸垂)系種目
チンニング(懸垂)はぶら下がるところさえあればどこでもできる最強の自重トレーニング。
公園やジムはもちろんのこと、自宅でもチンニングマシンや懸垂バーがあれば気軽に取り組めますよ。
大円筋を鍛える懸垂メニューを紹介します。
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大円筋を効果的に鍛える種目「ワイドグリップ・チンニング」
チンニングと言えば、大円筋を含む背筋群を最も効果的に鍛えられる自重トレーニング。
チンニングでは背筋全体を同時に鍛えますが、手幅を広くすれば「大円筋への刺激を増やせる」のです。
特に必要となる器具もなく、自重による負荷を利用したトレーニングの中でも高い強度に期待できるためおすすめですよ。
【やり方】
- チンニングバーを肩幅の1.5倍程度の手幅で握る
- 両足を床から浮かせて体後方側で両足をクロスさせて安定させる
- 胸を張り、軽く背中を反った状態のまま、肩甲骨を寄せる動作で体を持ち上げる
- バーにアゴが付くまで体を持ち上げた後、肩甲骨を開きながら体をおろす
大円筋を効果的に鍛える種目「ビハインドネック・チンニング」
この種目では、チンニングを「ビハインドネック(首の後ろ側)」にバーを通すように動くことで大円筋を鍛えます。
首の後方側にバーを通すさい、多少上半身が丸まった姿勢で動作することになり「大円筋へ加わる負荷が増える」ため。
上で解説した「ワイドグリップ・チンニング」よりも大円筋に有効ですが、難易度が高いため慣れてきたら挑戦してみましょう。
【やり方】
- チンニングバーを肩幅の1.5倍程度の手幅で握る
- 両足を床から浮かせて体後方側で両足をクロスさせて安定させる
- 肩甲骨を寄せる動作で体を持ち上げ、バーが首の後方側を通るように持ち上げる
- このとき、上背部がやや丸まるような姿勢になる
- 肩甲骨が寄せきるまで動作した後、肩甲骨を開きながら体をおろす
大円筋を効果的に鍛える種目「クライマーズ・チンニング」
この種目は、チンニングの「上下動作」で「弧を描くように行う」ことで、大円筋に特化しています。
全ての動作に大円筋が集中的に作用するため、チンニングを十分に行える筋力を持っている方は、ぜひチャレンジしてみてください。
【やり方】
- 上で解説した「ワイドグリップ・チンニング」と同様のセットアップを行う
- 最初に右手側に体を近づけるようにチンニングをする
- 右手まで顔が上がったら、その高さを維持したまま、左手へカラダをスライドさせる
- その後元の位置まで戻し、次は反対側の左手へチンニングを行い、右手側へスライドする
- 上記の動作を繰り返す
大円筋を効果的に鍛える種目「インバーテッドロー」
この種目は、上で解説した「ワイドグリップ・チンニング」に取り組めない方でもできる「斜め懸垂」です。
チンニングバー・スミスマシン・鉄棒などを利用し、直立姿勢で腰程度の高さに調整したバーを利用しましょう。
筋力に自信のない方・女性トレーニーの方でも、両足を床につけた状態で取り組めるため、負荷の調整ができるのが特徴の種目です。
【やり方】
- 直立姿勢で腰程度の高さになるバーを利用する
- スミスマシン・調整可能なチンニングバーであれば高さを調整します。
- 胸の真上にバーが来るように床に仰向けになり、両脚は伸ばす
- 肩幅の1.5倍程度の手幅でバーを握り、肩甲骨を寄せる動作で体を持ち上げる
- このとき、両足だけは床についた状態のまま行う
- 肩甲骨を寄せきり、バーが胸につくまで持ち上げたらゆっくりと肘を伸ばして体を下ろす
大円筋を効果的に鍛える種目「チューブサポート・チンニング」
この種目は、筋力がない方でも「トレーニングチューブ」の張力を補助力として利用することで、チンニングに取り組めるやり方。
通常のトレーニングチューブの利用法の多くは、張力を利用して筋肉に負荷を掛けますが、この種目では「補助力」として活用します。
チンニングで回数をこなせない方は、チューブの張力を追加することで回数を増やし、大円筋に刺激を加えていきましょう。
【やり方】
- チンニングバーにチューブの両端またはハンドルを固定する
- 肩幅の1.5倍程度の手幅でバーを握り、両足を床から浮かせてチューブの中央部に乗せる
- 両足は体後方側でクロスさせた状態でチューブに乗せると安定する
- 補助力が弱い場合は、チューブの長さを短めに固定することで張力を強める
- 両足をチューブに乗せたまま、チンニングを行う
ラットプル系種目
続いてラットプル系種目で大円筋を鍛えるメニューをみていきましょう。
大円筋を効果的に鍛える種目「パラレルグリップ・ラットプルダウン」
この種目は、「ラットプルダウン」を「パラレルグリップバー」を利用して行うやり方です。
パラレルグリップ(手のひら同士が向き合う手首の角度)でかつ肩幅よりも広めの手幅でバーを握れば大円筋への負荷を強化可能。
通常のストレートバーを利用したラットプルダウンよりも、より大円筋への負荷の比重を高めた取り組みができますよ。
【やり方】
- 「ラットプルマシン」のフックに「パラレルグリップバー」を装着する
- シートに座り、膝パッドの高さを太ももに合わせて調整する
- 両手でバーを保持し、背筋を伸ばしたままバーを鎖骨のあたりに引き寄せる
- 肩甲骨を寄せる意識でバーを引き寄せ、収縮を感じたらバーを戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「ビハインドネック・ワイドラットプルダウン」
通常のラットプルダウンは体前面側にバーを下ろしますが、この種目では「ビハインドネック(首の後ろ側)」にバーを下します。
ラットプルマシンを利用することで、マシンに備え付けのウェイトにより「負荷の調整を細かく行える」のが特徴の種目です。
【やり方】
- ラットプルマシンのウェイトプレートにピンを差し込むことで好みの重量に設定する
- マシンの膝パッドを自分の太ももに合わせて調整する
- シートに座り、バーを肩幅の1.5倍程度の手幅で握る
- 肩甲骨を寄せる動作でバーを体の後方側へおろす
- 大円筋への負荷を感じながら行い、収縮を感じたらゆっくりとバーを戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「タオル・ラットプルダウン」
この種目は、大円筋や広背筋といった背筋群に効果的な「ラットプルダウン」を、マシンではなく「タオル」を利用して行うやり方。
頭上高い位置で両手に保持したタオルを左右に引っ張りながら体に引き寄せていくことで、大円筋を含む広背筋群を鍛えます。
タオルを保持する手幅を通常よりも広めに保持して取り組むと、より「大円筋への負荷の比重を高められる」のが特徴です。
【やり方】
- タオルを肩幅よりも広めの手幅で両端を握る
- 頭上高い位置に両腕を伸ばし、左右に引っ張るように力を加える
- 左右に力を入れたまま、両肘を曲げて体の後方側へ下ろす
- 肩甲骨を下ろしながら寄せる動作を意識して行う
- 肩甲骨を寄せきったら、左右にタオルを引っ張ったまま頭上へ戻す
- 上記の動作を繰り返す
大円筋を効果的に鍛える種目「チューブ・ラットプルダウン」
この種目は、上で解説した「タオル・ラットプルダウン」と同様の動作を、トレーニングチューブを使ってやります。
タオルよりも大円筋に対して強い負荷を掛けられるのが特徴。
さらに、チューブは伸ばせば伸ばすほど負荷が増す「漸進性負荷」をもつため、手に持つ長さを調整すれば負荷の調整が可能です。
【やり方】
- チューブの両端を両手で握り、頭上高く両腕を伸ばす
- チューブを左右に引っ張り、肩幅の1.5倍程度の手幅で維持する
- チューブが張っている状態を維持しながら、肩甲骨を寄せる意識で体後方側へ下ろす
- 下す際に多少両手を開いていくとさらに大円筋への負荷を強められる
自宅にトレーニングチューブがないという方は、持っておくだけで宅トレの範囲がぐっと広がります。
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リバースフライ系種目
次はリバースフライ系種目です。
しっかり大円筋に効かせていきましょう。
大円筋を効果的に鍛える種目「ケーブル・リバースフライ」
この種目は、ケーブルマシンを利用して両腕を体後方へ開くように動作を行い、背筋群を中心に鍛るやり方。
対象筋は大円筋を含む「広背筋・僧帽筋中部と下部・三角筋後部」。
上背部に位置する背筋を鍛えられます。
ケーブルマシンを利用できる状況であればおすすめです。
【やり方】
- ケーブルマシンの左右のプーリーを胸の高さに調整する
- プーリーにそれぞれワンハンドグリップを装着する
- 右手は左側のグリップを、左手は右側のグリップを掴んで交差させる
- 背すじを伸ばしたまま、肩甲骨を寄せる意識で両腕を後方へ開いていく
- その後、ゆっくりとケーブルの負荷を感じながら両腕を胸の前に戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「チューブ・リバースフライ」
この種目は、上で解説した「ケーブル・リバースフライ」と同様の動作を「トレーニングチューブ」を利用して行うやり方。
チューブのもつ張力による負荷を利用することで、ジムでしか取り組めないリバースフライを自宅でも取り組めます。
チューブを持つ長さを変えることで負荷の調整を行い、張力による負荷で大円筋を効果的に鍛えていきましょう。
【やり方】
- 肩幅程度の長さでチューブを握り、直立する
- 腕を9割程度伸ばした角度で前方に腕をあげる
- 床に対して平行になる高さで上腕の位置を維持する
- 肘の角度を変えず、肩関節の動作で腕を後方へ開く
- 背中の収縮を感じたら、ゆっくりと元の位置に戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「マシン・リバースフライ」
この種目では、上で解説した「ケーブル・リバースフライ」と同様の動作を「バタフライマシン」を利用して行います。
バタフライマシンはアームの軌道が固定されているため、リバースフライの動作にだけ集中して行えるのが特徴です。
細かな軌道のコントロールをマシンに任せられることで、より大円筋へ負荷を集中して鍛えられますよ。
【やり方】
- 「バタフライマシン」のシートをハンドルが胸の高さに来る位置で調整する
- アームを、背もたれ側にアーム同士が一番狭くなる位置で調整する
- 背もたれ側に向き合うようにシートに座り、両手でハンドルを保持する
- 肘は9割程度伸ばした角度で固定したまま、リバースフライを行う
ローイング系種目
大円筋を鍛えるローイング系種目です。
大円筋を効果的に鍛える種目「ワイドグリップ・ベントオーバーロー」
ワイドグリップベントオーバーローは、背筋群を効果的に鍛る「デッドリフト」に並んで代表的なトレーニング種目です。
通常では肩幅程度の手幅で行うベントオーバーローを「肩幅の1.5倍程度の手幅」で取り組み、大円筋への負荷を強めます。
バーベルに装着するプレートの重量を変えることで負荷の調整を細かく行えるため、自重による懸垂ができない方にもおすすめです。
【やり方】
- バーベルを肩幅の1.5倍程度の手幅で握り、肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま、膝を軽く曲げて上半身を45度程度前傾させる
- この姿勢を維持したまま、肩甲骨を寄せる動作でバーベルを「おへそ」に引き寄せる
- 肩甲骨が寄せきったら、肩甲骨を開きながらバーベル元の位置のおろす
大円筋を効果的に鍛える種目「インクラインベンチ・ダンベルローイング」
この種目は、上で解説した「ベントオーバーロー」と同様の動作を「インクラインベンチ」を利用して行うバリエーション。
インクライン(30~45度程度)ベンチにうつ伏せになることで「上半身の前傾姿勢を簡単に維持できる」のが特徴です。
上半身の前傾姿勢をベンチに任せることで、純粋にローイング動作に集中可能。
大円筋へ負荷を集中させられますよ。
【やり方】
- アジャスタブルベンチをインクライン(30~45度程度)に調整する
- 両手にダンベルを保持し、ベンチにうつ伏せになる
- 背すじはまっすぐ伸ばしたまま、肩甲骨を寄せながらローイングを行う
- 背中の収縮を感じたら、ゆっくりと肩甲骨を開いてウェイトを下す
大円筋を効果的に鍛える種目「ダンベル・ベントオーバーロー」
この種目は、上で解説した「ベントオーバーロー」と同様の動作を「ダンベル」を利用して行うやり方です。
バーベルよりも「広い可動域を活かせる」ため、対象筋である大円筋の「最大収縮・最大伸展」を引き起こせるのが特徴。
左右のウェイトがそれぞれ独立しているため、大円筋に効かせるためには肩幅以上の手幅となるよう収縮動作を行いましょう。
【やり方】
- 両手にそれぞれダンベルを保持し、肩幅程度の足幅で直立する
- 背すじを伸ばしたまま、膝を軽く曲げて上半身を45度程度に前傾させる
- この姿勢を維持したまま、肩甲骨を寄せながらダンベルをお腹の側面側に引き寄せる
- 背中の収縮を感じたら、肩甲骨を開いてダンベルを下ろす
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大円筋を効果的に鍛える種目「チューブ・ベントオーバーロー」
この種目は、上で解説した「ベントオーバーロー」と同様の動作を「トレーニングチューブ」を利用して行うやり方。
チューブを握る長さを調整すれば負荷の調整が可能です。
そのため、懸垂に取り組めない方にもおすすめなメニューとなっています。
【やり方】
- チューブの両端を両手で握り、チューブの中央部を両足で踏んで固定する
- 肩幅程度の足幅で直立し、膝を軽く曲げて上半身を45度程度に前傾させる
- 腕を伸ばしてもチューブがピンと張る長さに調整する
- ※チューブがたるむと負荷が掛からないため
- この姿勢を維持したまま、ベントオーバーローを行う
大円筋を効果的に鍛える種目「スミスマシン・ベントオーバーロー」
この種目は、ベントオーバーローと同様の動作を「スミスマシン」を利用して行うメニューです。
スミスマシンは「バーの軌道が固定されている」ため、挙上動作だけに集中して大円筋へ効率的に負荷を加えられるのが特徴。
フリーウェイト器具のバーベルを利用したベントオーバーローでは不安定になってしまう方におすすめです。
【やり方】
- スミスマシンのバーの前に肩幅程度の足幅で直立する
- 動作中体からバーが離れないよう、バーに近い位置で立つ
- バーを肩幅の1.5倍程度の手幅で握り、背筋を伸ばす
- 膝を軽く曲げて上半身を45度程度に前傾させたら、ローイングを行う
- 大円筋への負荷を感じながら動作を行う
大円筋を効果的に鍛える種目「ワンハンドローイング」
この種目は、背筋群を鍛える種目として代表的なメニューの一つ。
フラットベンチに片腕・片膝を乗せて上半身の前傾を作り出し、反対側の腕でローイング動作を行い大円筋を含む背筋群を鍛えます。
【やり方】
- フラットなベンチの脇にダンベル一つを置く
- シートに左手と左膝を乗せて上半身が床と平行になる前傾姿勢を作る
- 左手は肘を伸ばしてベンチの隅に置き、左膝は90度に曲げて乗せておく
- 右脚は床に伸ばし、右手でダンベルを保持する
- この状態のまま、右側のみ肩甲骨を寄せながらおへその横側にダンベルを持ち上げる
- 大円筋の収縮を感じたら、ゆっくりとダンベルを元の位置に戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「ワンアーム・ベントオーバーロー」
この種目は、上で解説した「ワンハンドローイング」と同様の動作を「フラットベンチなしで取り組む」バリエーションです。
上半身の前傾姿勢を維持しやすいため「腰への負担が軽い」のが特徴。
通常のベントオーバーローでは、背筋の力だけで前傾姿勢を維持するため、腰に不安がある方はこちらの種目がおすすめですよ。
【やり方】
- ダンベル一つを片側の手だけで保持し、肩幅程度の足幅で直立する
- 膝を軽く曲げて上半身を45度程度前傾させる
- このさい、ダンベルを保持していない側の片手を膝の上に乗せて安定させる
- この姿勢を維持したまま、片側だけワンハンドローイングを行う
大円筋を効果的に鍛える種目「チューブ・ワンハンドローイング」
この種目は、「ワンアーム・ベントオーバーロー」と同様の動作を「トレーニングチューブ」を利用して行うやり方。
片腕を膝に乗せられるので上半身の前傾を維持しやすく、さらにチューブによる負荷は「腰にやさしい」のも特徴です。
ダンベルをお持ちでない方でも、トレーニングチューブさえお持ちであれば「自宅でも簡単に取り組むことが可能」です。
【やり方】
- チューブを2つに折りたたみ、両足でチューブを踏んで固定する
- 片手にチューブのグリップを保持し、直立する
- 膝を軽く曲げて上半身45度程度に前傾させる
- グリップを保持していない側の片手を膝に乗せる
- 腕を伸ばしてもチューブがピンと張る長さであることを確認する
- この姿勢を維持したまま、片手でローイング動作を行う
大円筋を効果的に鍛える種目「ワイドグリップ・ケーブルシーテッドローイング」
シーテッドローイングを手幅の広いグリップを利用して行います。
両手に保持したケーブルを体後方側に引き寄せることで「肩関節伸展」を引き起こし、大円筋を含む背筋を鍛えるのですね。
また、ワイドバーを利用して手幅が広くなることで、より大円筋・広背筋への負荷が高まるのが特徴です。
【やり方】
- ケーブルシーテッドマシンのプーリーにワイドバーを装着する
- シートに座り、上半身が床に対して垂直になるように座る
- 肩幅よりも広い手幅でバーを保持し、肩甲骨を寄せる動作でバーをおへそに引き寄せる
- 背筋の収縮を感じたら、肩甲骨を開きながらバーを戻す
大円筋を効果的に鍛える種目「マシン・シーテッドローイング」
この種目は、ワイドグリップ・ケーブルシーテッドローイングと同ことを「シーテッドローイングマシン」で行うメニューです。
アームの軌道が固定されているため、筋トレ初心者や女性トレーニーでも適切な軌道でローイング動作を取り組めるのが特徴。
タイプによって手幅の広いワイドグリップが装備されているものもあります。
大円筋をメインに鍛える場合にはそちらがおすすめです。
【やり方】
- マシンのシートを調整し、ハンドルが胸より気持ち低い位置にくるようにする
- シートに座り、両手でハンドルを保持する
- 背すじを伸ばしたまま、肩甲骨を寄せる動作ハンドルを引き寄せる
- 背筋の収縮を感じたら、肩甲骨を開いてゆっくりと戻す
- 戻すさいは、大円筋を含む背筋のストレッチ(伸展)をしっかりと行う
大円筋を効果的に鍛える種目「チューブ・シーテッドローイング」
この種目は、シーテッドローイングを「トレーニングチューブ」を利用して行います。
シーテッドローイングは、通常ジムなどにしかない専用で大型のマシンを利用しなければなりません。
そのため「家トレでは取り組みづらい」のがデメリット。
しかし、トレーニングチューブをお持ちであれば、両足にチューブを掛けることでシーテッドローイングに取り組めます。
【やり方】
- トレーニングマットまたはヨガマットなどを敷いた床に座る
- 両足の裏側にチューブの中央部を通し、両端を両手で握る
- 両脚は伸ばしておき、上半身は床に対して垂直に座る
- 腕を伸ばしてもチューブがピンと張る長さに調整する
- この状態で、シーテッドローイングを行う
プルオーバー種目
プルオーバー種目で大円筋を刺激できるのは、バーベル・プルオーバーです。
大円筋を効果的に鍛える種目「バーベル・プルオーバー」
もしバーベルを利用できる状況であれば、「バーベル・プルオーバー」がおすすめ。
プルオーバーは、肘のポジションによって胸の筋肉か背中の筋肉のいずれかの部位にターゲットを変えられます。
大円筋に効かせる場合には「肘を開いて伸ばし気味」の状態で動作を行いましょう。
ターゲットを大円筋・広背筋に効かせられます。
【やり方】
- ベンチ台の横側から十字になるように仰向けで寝る
- 肩甲骨を中心に、ベンチの上に乗せる
- バーベルを肩幅の1.5倍程度の手幅で握る
- 肘を9割程度伸ばした角度で固定し、胸の上へバーベルを上げる
- 肘の角度を固定したまま、バーベルを頭の後ろへ下げる
- 上腕が床と平行になる程度まで下げたら、大円筋・広背筋の力で胸の上まで持ち上げる
大円筋の効果的なストレッチ法5選!
では、大円筋を伸ばしてコリやハリをとる効果的なストレッチ法について解説します!
- クロスボディ・アームストレッチ
- 背筋スタンティックストレッチ
- アップクロスアームストレッチ
- チャイルドポーズ
- コーナーストレッチ
大円筋のストレッチ①クロスボディ・アームストレッチ
このストレッチ法は、肩関節・肩甲骨周辺の筋肉に効果的です。
椅子に座った状態でも取り組めるので、オフィスでも簡単にストレッチできます。
片腕の付け根に反対側の腕を当てて側方に向かって引き寄せるように力を入れ、肩関節と一緒に肩甲骨も開いていきましょう。
【やり方】
- 直立した姿勢または椅子に座った状態で背すじを伸ばす
- 右腕を肩の高さまで持ち上げ、左肩方向に伸ばす
- 左腕で右腕の付け根を抑えるか、左肘を曲げて右腕を抑える
- 右肩と右肩甲骨を開くようにグッと右腕を体側に引き寄せる
- この状態を20秒程度キープし、その後反対側も同様に取り組む
大円筋のストレッチ②背筋スタティックストレッチ
このストレッチ法は、大円筋・広背筋・上腕三頭筋・三角筋・大胸筋といった上半身全体に効果的。
肩や肩甲骨を上に引き上げた姿勢をキープすることで、肩周辺や肩甲骨周りの筋肉をほぐしていきます。
こちらのストレッチも椅子に座った状態でも取り組めるため、オフィスワークなどに取り組んでいる方にもおすすめです。
【やり方】
- 直立した姿勢または椅子に座った状態で背すじを伸ばす
- 両腕を頭上高く伸ばし、両手をクロスさせて手のひらを合わせる
- 肘は伸ばした状態で、やや後方に引き上げるように両腕・肩・肩甲骨を引き上げる
- この姿勢を20秒程度キープ:肩に痛みがある場合は無理をしないよう注意
大円筋のストレッチ③アップクロスアームストレッチ
このストレッチも肩関節・肩甲骨周辺の柔軟性を高める効果に期待できます。
片腕を頭上高く上げ、反対側の腕で肘を抑えて負荷を掛けることで、肩関節や肩甲骨の開きを促して柔軟性を高めていきます。
上半身を側方へ傾けるように動作を行うと、大円筋をより強くストレッチさせることができます。
【やり方】
- 左腕を頭上高く上げ、体後方側へ肘を曲げる
- 右手で左腕の肘を抑え、左腕の肘を下方へ押し込むように負荷を加える
- 大円筋のストレッチを感じたら、この姿勢を20秒程度キープ
- その後、反対側も同様にストレッチを行う
大円筋のストレッチ④チャイルドポーズ
このストレッチは、ヨガのポーズにも含まれるやり方の一つ。
大円筋を含む背筋全体に効果的なストレッチ法です。
下背部(腰周辺)の筋肉のストレッチとしても効果的であるため、腰付近のハリや痛みを感じる方にもおすすめです。
【やり方】
- トレーニングマットやヨガマットを敷いた床に正座する
- カカトにお尻を付けた状態のまま、上半身を深く前傾させていく
- 前傾させると同時に両腕も前方に伸ばしていく
- 限界まで上半身を前傾させ、この体勢を30秒程度キープする
大円筋のストレッチ⑤コーナーストレッチ
このストレッチは、壁で片腕を固定し、体を前方に進むように負荷を加えて肩甲骨周辺の筋肉の柔軟性を高め方法です。
主に「肩甲骨剥がし」としても利用されるストレッチで、肩甲骨周辺の可動性の向上に高い効果が期待できます。
大円筋を含む背筋全体や、肩甲下筋のストレッチとしても効果的ですよ。
【やり方】
- 壁の角に片腕を当てて固定し、背すじを伸ばして直立する
- 片腕を壁に固定したまま、前方に進むように負荷を加える
- 肩甲骨の動きを感じながら、大円筋をストレッチさせる
- 大円筋のストレッチを感じる位置で20秒程度キープ
- その後、反対側も同様に行う
【大円筋】トレーニングの筋トレ効果を高めるためのコツ5つ!
せっかくトレーニングを行うのですから、大円筋の筋トレ効果をより高めるためのコツを知っておきましょう。
順番に解説します。
大円筋トレーニングのコツ①チンニング系種目では”肩”を上げないよう注意する
大円筋を鍛えるチンニング系種目に取り組む場合は、動作中に「肩を上げない」ことが筋トレ効果を高めるコツ。
力んで体を持ち上げることに意識が向くと、肩に力が入ってしまい、肩が上がった状態で動作を行ってしまいがちです。
しかし、肩が上がってしまうと肩甲骨も伴って上がってしまい、大円筋への負荷が抜けてしまいます。
大円筋へ効果的に負荷を加えるためには、肩を下ろして肩甲骨を下ろしながら寄せる動作が大切です。
これは「ラットプルダウン系種目」でも同様ですよ。
大円筋トレーニングのコツ②ラットプル系種目では”背中”を丸めない
ラットプル系種目では”背中”を丸めないことが筋トレ効果を高めるためのコツです。
バーを引き下げようと力むあまり背中を丸めて動作をしてしまいがちですが、これを行うと全身の力を利用することに。
大円筋への負荷が弱まってしまいます。
ラットプルダウンでは、動作中は終始「胸を張って背中を軽く反った状態」のまま取り組むことが大切です。
大円筋トレーニングのコツ③リバースフライ系種目でも”肩”は上げない
リバースフライ系種目でも”肩”を上げないことが筋トレ効果を高めるコツです。
取り組むさいに力んで肩に力が入ってしまうと、首から肩に位置する「僧帽筋上部」へ負荷が分散してしまいます。
そのため、肩は力を抜いて腕を後方へ振る「肩関節伸展」動作に集中して取り組みましょう。
大円筋トレーニングのコツ④ローイング系種目は”腕”で引かない
ローイング系種目に取り組む場合、バーを”腕”で引かないようことが筋トレ効果を高めるコツです。
腕の力でバーを引き寄せる意識で行うのではなく、肩関節と肩甲骨の動作によってバーを引き寄せる意識で取り組みましょう。
大円筋トレーニングのコツ⑤ネガティブ動作はゆっくりと行う
大円筋トレーニングの筋トレ効果を高めるコツの最後は「ネガティブ動作をゆっくりと行う」ということ。
ウェイトを持ち上げるポジティブ動作にばかり意識が向いてしまい、力を抜いてストンと下してしまうのですね。
ネガティブ動作で力を抜いて早く下してしまうと、対象となる筋肉部位への負荷が抜けてしまいます。
そのため、筋トレ効果が弱まってしまう結果に。
これは、すべての筋トレに共通して重要なことなので、覚えておきましょう。
大円筋トレーニングに取り組むさいの注意点
①正しいフォームがなによりも大切!
すべてのエクササイズ・種目では基本的な動作フォームがなによりも大切です。
正しいフォームをしっかりと身につけ、体で覚えることが最短の道。
間違ったフォームのままトレーニングを続けると対象筋以外の筋肉も使って適切な負荷が入らないうえ、怪我の恐れもあります。
②筋トレで一番注意しなければいけないことは怪我
1度怪我をすると、完治するまでその部位を鍛えられなくなるのでその期間に筋肉を失ってしまいます。
さらに他の部位のトレーニングに影響が出る可能性まであり、最悪な結果となるのですね。
覚えていただきたいのは「正しいフォームを覚えることが理想の肉体への一番の近道」であるということ。
「怪我」は筋トレの中で一番気を付けなければいけない「脅威」です。
大円筋のトレーニングで利用したいサポートアイテム2選
利用したいサポートアイテム①トレーニングベルト
トレーニングベルトとは、腰を保護しながら、より高い筋出力を発揮してくれるためのトレーニングギアです。
お腹に巻くことで「腹圧」が高まり、腰の怪我から保護する効果を発揮します。
また、腹圧が高まることにより筋出力も向上するため、より重い重量を扱えるようにもなりますよ。
高重量トレーニングを行いたい方や、腰が弱い方、腰に不安を抱える方はトレーニングベルトを有効活用していきましょう。
【関連記事】トレーニングベルトについてさらに詳しくはこちら♪
利用したいサポートアイテム②パワーグリップ
パワーグリップとは、「引く動作」のさいに握力のサポートに効果を発揮してくれるトレーニングギアの一つです。
一緒にバーべルを握ることで、少ない握力でも高重量のバーべルを保持し続けられます。
パワーグリップは、バーべルだけでなく、ダンベルやケーブルマシンにも活用できますよ。
基本的に引く動作を要するトレーニング種目全般に利用可能です。
パワーグリップについてより詳細な内容を知りたい方は、下にある記事も合わせて確認しましょう!
おわりに
今回は、大円筋の作用と概要・効果的に鍛えるトレーニング種目・ストレッチ法などについて解説しました。
大円筋は、広背筋に比べると注目されることが少ない部位かもしれません。
しかし、大円筋が発達した背中はより迫力のある印象を与えてくれます。
広背筋だけでなく大円筋も意識して鍛え、よりたくましくカッコいい背中を作り上げていきましょう。
“No pain No gain”
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AKI
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