背中の筋肉は、人間の筋肉の中でもかなり広い範囲を占める部位。
鍛えあげれば逆三角形のボディに仕上がるため、背中のトレーニングを積極的にメニューに組み込んでいる方は多いでしょう。
しかし、背中の筋肉はその性質上、腕や脚などの部位に比べて意識的に効かせるのが難しい部位です。
そのため悩んでいる方が多いのもまた事実ですよね。
では背中の筋トレを行うときは、どのような意識を持って行えばいいのでしょうか?
コツはどんなところにあるのでしょうか。
この記事では背中のトレーニングにおいて重要な意識や練習方法、背中の代表的なトレーニングなどを紹介していきます。
この記事の目次
背中ってどんな筋肉?
一般的に背筋と呼ばれている背中の筋肉は大きく分けて、僧帽筋、広背筋、脊柱起立筋に分かれています。
僧帽筋は肩をすくめたり手を挙げる動作、広背筋は物を引っ張る動作、脊柱起立筋は日常生活における姿勢の保持など、人間の行動の中核をなす動きに関与。
非常に重要な筋肉群なのです。
また実用的な部分以外でも、僧帽筋を鍛えると首の付け根の部分が盛り上がったように見えますし、広背筋を鍛えれば脇の下が盛り上がったように見えます。
ボディビルダーの体で目立つ部位ですよね。
鍛えると背中が広くなってクビレがはっきり見えやすくなるので、ウエストが引き締まった逆三角形スタイルを作るには必須の筋肉。
ダイエット目的の女性から体を大きく見せたい男性まで、さまざまな人が背中の筋トレを日々のトレーニングメニューに取り入れています。
背筋に効かせられない人が多いのはなぜ?
実は背中のトレーニングは、重量を重くして回数を多く行っている人でもあまり効果が出ていないことが珍しくありません。
実際、筋トレ初心者の方の声を聞くと「背中が全然筋肉痛にならない」、「トレーニングをしても背中に効いているのかどうかまったく分からない、手ごたえがない」という声は多く聞かれます。
背中の筋トレが難しい理由①他の部位に効きやすい
背中の筋トレが難しい理由はいくつかあります。
その中でも多くの理由が「他の部位に効いてしまいやすい」こと。
というのも、背筋のトレーニングはほとんどがコンパウンド(複合関節)種目です。
コンパウンド種目はしっかりフォームをストリクト(厳密)にして行わないと上腕や三角筋に刺激が流れやすい種目。
つまり、トレーニングをしても背中に効かず、腕や肩にばかり効いてしまうという事態になります。
確かに腕や肩を使わず背中だけを動かせと言われると、慣れていない場合難しいですよね。
腕や肩のトレーニングをする場合、↓の記事のようなメニューを行った方が効率がよいとされています。
背中の筋トレが難しい理由②見えない
さらに背中はその構造上、トレーニング中に筋肉の動きを見ながら動作できません。
たとえば上腕二頭筋を鍛えるダンベルカールであれば、ダンベルを上げながら実際に筋肉が収縮しているところを見られます。
ワンハンドやコンセントレーションカールなら触りながら確認し、フォームの修正を行えるのです。
しかし背筋は体の後ろ側にある筋肉。
基本的に筋肉の収縮を見ながらトレーニングできないので、初心者のうちだと効いているのか効いていないのかが分かりません。
アームカールのやり方は↓の記事をご参考下さい。
背中に効かせたい時に意識する3つのこと
せっかくのトレーニングですから、対象部位にしっかり効かせたいですよね。
そこでおすすめするのは以下の3つを意識することです。
- 骨盤を前傾させる
- 肩甲骨を寄せる
- 肩を下げる
背中に効かせたい時に意識すること①骨盤を前傾させる
筋トレを背中に効果的に効かせたい場合のコツを紹介しましょう。
背中、特に広背筋に意識的に効かせたい場合は「骨盤の前傾」を作ることが重要です。
骨盤の前傾を作るには膝を軽く曲げ、お尻を突き出して上半身が少し反るくらいの角度を作ります。
これを行うことで広背筋に負荷がかかりやすくなりますよ。
後述するベントオーバーロウという種目は、まさにこの体制で行っていますね。
なお、反対に腰を丸める(骨盤を後傾)させて背中のトレーニングを行うと高確率で腰の怪我に繋がります。
必ず骨盤を前傾させる意識を持ちましょう。
背中に効かせたい時に意識すること②肩甲骨を寄せる
また、背中の筋トレでは「肩甲骨を寄せる」意識も重要です。
筋トレにおける負荷とは、多くの場合「伸展」と「収縮」で構成されています。
しかし、背中の筋肉は上記の通りなかなか伸展と収縮を感じにくい場所です。
そこで、背中筋トレのさいにはケーブルなら引っ張る時、ダンベルやバーベルなら持ち上げるときに肩甲骨の下側を寄せ、腕ではなく肩甲骨で引っ張るようなイメージで行いましょう。
そうすると背中の収縮を感じられますよ。
肩甲骨を寄せることも背中のトレーニングでは必須ですね。
背中に効かせたい時に意識すること③肩を下げる
さらに「肩を下げる」意識も大事です。
これは実際に片手で脇の下の背中寄りの部分を触りながらやれば分かりやすいと思いますが、肩をダランと下げた状態で上腕を後ろに引いてみると広背筋が動いているのが分かります。
肩が上の方にあるとこのようには動きません。
したがって、ベントオーバーロウにしろケーブルロウにしろ、背中のトレーニングは基本的に常に肩を下げることがコツであると言えます。
背中のトレーニングは練習しておいた方がいい
ではさらに、より効果を実感するためのコツをみていきましょう。
- 極めて軽い重量で行う
- エアー練習も行う
- グリップを変える
背中筋トレの練習①極めて軽い重量で行う
実際に練習してみないと背筋の動かし方は身につきませんよね。
そこでおすすめなのは、最初に極めて軽い重量で練習するということです。
いきなり自分が上げられる最大の重量で負荷をかけるのではなく、極めて軽い重量でフォームを固めましょう。
重量が重いとセットの最後の方ではそれを上げることに意識が集中してしまい、フォームがバラバラになりがち。
そのため、重量は本当に軽量(ダンベル2、3kg程度)でOKです。
回数を1セット30~40回くらいに増やして、どのようなフォームで行えば背筋が使われるかの感覚を覚えましょう。
ダンベルの選び方については↓もご参考下さい。
背中筋トレの練習②エアー練習も行う
またフォームを固めるという意味では、エアーで行うトレーニングもおすすめです。
エアートレーニングとは、実際にダンベルトレーニングを行っているかのように筋肉を動かす練習のこと。
フォームを確認したい時などに行います。
上記の通り、背中のトレーニングはフォームが非常に重要なトレーニングです。
手が空いたときやセット間のインターバル時などに、エアーで動作を確認しておくといいでしょう。
背中筋トレの練習③グリップを変える
ベントオーバーロウを行う場合、グリップを変えてみるというのも手です。
ダンベルやバーベルを握るさい、握り方には親指を使って握る「サムアラウンドグリップ」と親指を使わず他4本の指で握る「サムレスグリップ」という2つがあります。
ベントオーバーロウのような肩甲骨を引く力で重量を引き上げるトレーニングの場合、サムレスグリップの方が比較的腕の力に頼らないため、より効率的に背中に効かせられるのです。
ある程度背中トレに慣れてきたらサムレスグリップを試してみるのもおすすめですね。
背中トレーニングのメニューとコツ
では、背中のトレーニングメニューとコツを具体的に紹介します。
- チンニング
- ベントオーバーロウ
- ワンハンドロウイング
- ラットプルダウン
- シーテッドロウ
背中トレーニングメニュー①チンニング
広義の意味で「懸垂」であるチンニング。
自重で広背筋を重点的に鍛えられるため人気のメニューですよね。
しかしこのチンニング、他の背筋種目と同じようにフォームを間違うと腕に効いてしまうという特徴を持っています。
【チンニングのやり方】
- 肩幅より広い位置に手を置きバーを握る
- 胸をバーに近づけながら(胸を張る)肩甲骨をギュッ寄せるようなイメージで体を持ち上げる
- ゆっくり体を下ろす
- 2~3を10回程度繰り返す
広背筋に重点的に効かせるには上記で紹介した背中トレの原則が重要です。
すなわち「肩を下げる」「肩甲骨を寄せる」「背中を丸めない」といった原則ですね。
チンニングに慣れていないと肩をすくめて体を持ち上げてしまいがちですが、肩を上げると広背筋には効きにくいため、必ず肩は下げて行いましょう。
体を上げる時は肩甲骨を意図的に収縮させるようにし、胸を張って背中を反り気味にすると背中に効きやすいです。
また、慣れてきたらサムレスグリップで行うとより効果的ですね。
チンニングについては↓もご参考下さい。
背中トレーニングメニュー②ベントオーバーロウ
ベントオーバーロウ(ベントオーバーロウイング)は代表的な背中トレーニングのメニューです。
バーベルはもちろんのこと、ダンベルでもできるので自宅でも行えます。
コツはこれも背中トレの原則通り。
「骨盤の前傾」「肩甲骨の寄せ」「肩を下げる」ことに気を付けて行ってください。
【ベントオーバーロウのやり方】
- 骨盤を前傾させ、ゴリラの立ち姿のようなスタイルを作る
- 下腹部方向に向かって息を吐きながらバーベル(ダンベル)を引き上げる
- ゆっくり戻す
- 2~3を繰り返す
バーベルはより重い重量を扱えますが、バーが足に当たるので可動域はそこそこ。
ダンベルはバーベルより扱う重量は低めになりますが、その分可動域を広く取れるので肩甲骨を寄せやすいという特徴があります。
ダンベルを使う場合は可動域を意識してください。
ただし、ベントオーバーロウをきちんと背中に効かせられるようになるまでには練習が必要です。
最初は軽めの重量かエアートレーニングでフォームを覚えましょう。
ベントオーバーロウについては↓もご参考下さい。
背中トレーニングメニュー③ワンハンドロウイング
ワンハンドロウイングは片手ずつ行う広背筋(少し僧帽筋も)のトレーニングです。
左右の筋肉差の是正にも役立ちますよ。
【ワンハンドロウイングのやり方】
- ベンチ(ベンチがなくてもできる)に同じ側の片足と片腕を乗せる
- 骨盤を前傾させるような姿勢をとる
- 肩甲骨を寄せるようなイメージでダンベルを持ち上げる
- ゆっくりとダンベルを下ろす
- 3~4繰り返し、回数は10回×3セットが目安
骨盤の前傾と肩甲骨の意識、腕ではなく肩甲骨で上げるイメージ(肘を先行させる)が大事というのは他の種目と同様です。
しかし、回数を重ねて疲れてくると体を開いて腕や胸の力でダンベルを待ち上げてしまうパターンが多く、そうなると背中には効きにくくなります。
しっかり肩を下げ、姿勢を保持する意識は最後まで持ちましょう。
背中トレーニングメニュー④ラットプルダウン
ラットプルダウンは重量を上から下に引く人気のマシンメニューです。
マシンにより軌道が決まっているため、ケガをしにくく初心者でも安心してトレーニングできます。
【ラットプルダウンのやり方】
- パッドが足に当たったとき、膝の角度が90度になるように調節する
- 肩幅より広い位置でバーを握る
- 背中を反らせて、息を吐きながらバーを胸元まで下げる
- ゆっくりと戻す
- 2~5を繰り返す、目安は10回×3セット
コツは「肘の角度を90度に固定」すること。
肘の角度を固定することで、腕の力ではなく肩、引いては背中で引っ張る意識を持つことが大切です。
上記で紹介した「肩を下げる」という意識にも通じますね。
背中トレーニングメニュー⑤シーテッドロウ
シーテッドロウ(シーテッドロウイング)はケーブルマシンで行う背中の筋トレメニュー。
注意する点はダンベルやバーベルを使ったトレーニングと同じで「肩甲骨で引っ張る」ことと「腕の力を使わない」ことですね。
【シーテッドロウのやり方】
- マシンに座ってパッドが胸に当たるように、ハンドルに手が届くようにシートを調整する
- 肩甲骨を寄せるようにケーブルを体の位置まで引く
- ゆっくり戻す
- 2~3を繰り返す、筋肥大なら6回~12回を目安にする
ケーブルロウは疲れてくると体が前傾し、腕の力に頼りがちになる傾向があります。
そのためまず、エアーで肩甲骨を動かす意識をつけることが重要です。
もしそれでもセットの最後で態勢が崩れてしまうなら重量を軽くしてみてください。
背中のトレーニングは重量が重すぎるとフォームが乱れ、逆効果になってしまうことがあります。
シーテッドロウについては↓もご参考下さい。
背中のトレーニングにおすすめのアイテム
背中のトレーニングには紹介したようにさまざまな種類があります。
しかし中でも、チンニングは自重トレーニングの中では広背筋への効果が非常に高いメニューです。
またグリップを逆手にしたり、足の動きを変えるなどすれば広背筋だけでなく僧帽筋や上腕二頭筋、腹筋を鍛えられようになるなどバリエーションも豊富です。
チンニングはマシンや鉄棒などぶら下がる場所が必要なため、ジムが近くにないという方は自宅にマシンを一つ購入するのもいいでしょう。
最近ではただの鉄棒ではなく、機能豊富なチンニングマシンが販売されています。
当メディアが制作・販売しているチンニングマシンもご検討ください。
まとめ
紹介してきたように、背中のトレーニングは数ある筋トレメニューの中でも効かせるのが難しい部位です。
しかし、コツが分かれば問題ありません!
しっかり背中に効かせることができ、逆三角形の体に近づけますよ。
そのために、感覚を身に着けるまで練習することをおすすめします。
最後にもう一度言わせて頂きますが、背中のトレーニングは練習あるのみです!
フォームを習得してから本番のトレーニングに臨みましょう。
ilohas834
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