分厚く、男らしい大きな胸板は、男であれば誰もが憧れる「頼りがいのある男」の象徴ですよね。
そんなかっこいい大胸筋を作り上げるために最適なトレーニング、それは「ベンチプレス」です。
ベンチプレスは、大胸筋のトレーニングを代表する最も効果的、かつ効率的なトレーニング種目。
トレーニングをやり始めた方であれば、ベンチプレスを100kg上げることを目標にしている方も多いでしょう。
今回は、ベンチプレスでより効果的に鍛えるためのテクニック・コツ・ポイントについて、解説していきます!
紹介した内容を実践することで、より大胸筋の発達を促せるうえ、使用重量が伸びることにもつながるはずですよ。
この記事の目次
ベンチプレスの概要
ベンチプレスとは、大胸筋トレーニング種目を代表する最も効果的なメニューの一つ。
バーベルとトレーニングベンチという2つのトレーニング器具を使用して行います。
ベンチプレスは肩関節・肘関節の2つの関節を含む、多関節運動種目(コンパウンド種目)です。
コンパウンド種目は複数の関節を含むため、多くの筋肉(上腕三頭筋・三角筋前部・背中・脚など)が関わります。
つまり、必然的に使用重量はその他のトレーニング種目と比べると重くなるのですね。
ベンチプレスは、バーベルを上へ押し上げる動きの「肩関節水平内転動作」と肘を伸ばす動きの「肘関節伸展動作」により、大胸筋に特化したトレーニング。
さらにサブターゲットとして、上腕三頭筋や三角筋前部も同時に鍛えられます。
ベンチプレスは、バーベルを上下に動かすだけの単純な動きに思えるかもしれませんし、実際、トレーニング初心者でも簡単に取り組める種目でもあります。
しかしトレーニングを積み重ねるほど、その奥の深さに気づくはずですよ。
ベンチプレスで筋肥大に効果的なトレーニングセットテクニック
では、ベンチプレスのトレーニング効果をより高めるコツ・テクニックについて3つ紹介します。
- 3段階・ドロップセット
- ジャイアントセット
- ピラミッドセット
より効果的で質の良いトレーニングができるように努力していきましょう。
3段階・ドロップセット
ドロップセットは高負荷トレーニングの1つ。
高負荷のトレーニングでこれ以上挙上できない限界まで筋肉を追い込んだ後、インターバルをとらず、即座に少しだけ負荷を下げて再び限界まで筋肉を追い込む方法です。
たとえばベンチプレスだと下記のようになります。
- 60kg 10回
- 45kg 10回
- 30kg 10回
計30回休憩なしでそれぞれの重量で限界まで追い込みます。
とにかく“筋肉に休憩する瞬間を与えない”ことがより効果を高めるポイントです。
「筋肉が限界に達する強度のトレーニングを長い時間続けることによって強い負荷を筋肉に与え、筋肉を大きく増強させる」という上級者向けのトレーニング法になります。
ジャイアントセット
ジャイアントセットは、一つの筋肉部位に対し最低4つの異なる種目を、休憩やインターバルなしで連続で行う超高強度トレーニング法です。
たとえば、
- ベンチプレス 10回 1セット
- インクラインベンチプレス 10回 1セット
- ナローベンチプレス 10回 1セット
- ワイドベンチプレス 10回 1セット
計40回
上記のように、大胸筋に対してそれぞれ異なる種目を休憩なしかつ連続で行うことで、より大きな刺激を筋肉に与えられます。
一見同じような種目内容に見えますね。
しかし微妙に違う動作によって微妙に異なる筋繊維からの出力・動員が得られるので、筋繊維へ「物理的刺激」を与えられますよ。
また休憩なしで筋肉を緊張させ続けることによって「化学的刺激」を与えます。
それにより、代謝物や成長ホルモンの分泌量向上にも効果があるといわれています。
筋肥大に最適なメカニズム備えた、究極のトレーニング法ということです。
ピラミッドセット
ピラミッドセット法は、最大筋出力の向上・筋肥大の双方をより効果的に鍛えられるテクニックで、主にBIG3などの全身を鍛えるコンパウンド種目(多関節運動種目)で用いられます。
セット毎に回数と使用重量を変えることで、効果的に対象筋を刺激。
「アセンディングピラミッド」がセット毎に重量を増やして回数を減らす方法で、「ディセンディングピラミッド」がセット毎に重量を減らして回数を減らす方法です。
他にもセットの組み合わせ方によって「ダブルピラミッド」や「フラットピラミッド」と呼ばれる方法などさまざまな呼び方があります。
ここでは、代表的なピラミッド方について紹介していきますね。
アセンディング・ピラミッドセット
セット毎に重量を増やして回数を減らす方法です。
筋肥大と筋力向上の両方を狙えますよ。
具体的な手順と重量設定は以下の通りです。
- 軽い重量から初めて徐々にウエイトを上げていく
- 最後にメインセットで筋力向上を狙う
セット | 負荷%1RM(1回が限界の重量) |
回数 |
1 | 60%(20RM) | 15回 |
2 | 70%(12RM) | 10回 |
3 | 80%(8RM) | 8回 |
4 | 85%(6RM) | 6回 |
5 | 90%(4RM) | 4回 |
ポイントは以下の通りです。
1セット目・2セット目は軽めの重量で回数を兼ねつつ、ボリュームを多めにする
3セット目からは筋肥大に効果的な重量設定・回数でボリュームを稼ぐ
4セット目は筋肥大・筋力向上の両効果を狙う
5セット目はメインセットで、最大出力の向上を狙う
筋肥大と筋出力向上の両効果に期待ができる高強度トレーニングテクニックですが、「広く浅いトレーニングテクニック」とも言えます。
重めの重量セットを行う前にすでに筋疲労しているため、筋出力の効果はやや減少。
また、セット数の割にはボリュームが少ないため、筋肥大の効果もそこそこと言った感覚のトレーニングです。
ただし普段のトレーニングとは異なった刺激を与えるという意味では、効果的であることに間違いありません。
ディセンディング・ピラミッド
セット毎に、使用重量を減らして回数も減らしていく方法です。
「リバースピラミッド法」とも呼ばれます。
最大筋出力向上を目的としたトレーニングテクニックですね。
- ウォーミングアップを行って段階的に負荷を上げ、1RMの80%程度の重量まで扱う
- 最も重い重量でメインセットを限界まで行う
- ウェイトを少し下げて再び限界まで行う
- さらにウェイトを下げて限界まで行う
セット |
負荷%1RM(1回が限界の重量) | 回数 |
1 | 90%(4RM) | 4回 |
2 | 80%(8RM) | 8回 |
3 | 70%(10RM) | 10回 |
ポイントは以下の通り。
- 1セット目がメインセットで、最大筋出力向上を狙う
- 2セット目は筋肥大/筋力向上の両効果を狙う
- 3セット目は筋肥大狙いでボリュームを稼ぐ こういったセットの組み方になります。
1セット目から最高重量を扱うので、最大筋出力向上に非常に効果的です。
また、2セット目以降でもある一定のトレーニングボリュームも稼げるので、ある程度の筋肥大効果も期待できます。
ダブル・ピラミッド
アセンディングピラミッドの後にディセンディングピラミッドを続けて行う高強度セット法です。
高回数→低回数→高回数という回数の流れでセットを組むため、筋肥大の効果を最大化できる非常に優秀なトレーニングテクニックです。
- ウォームアップを行って段階的に負荷を上げ、1RMの80%程度の重量まで扱う
- 最も重い重量でメインセットを限界まで行う
- ウェイトを少し下げて再び限界まで行う
- さらにウェイトを下げて限界まで行う
セット |
負荷%1RM(1回が限界の重量) | 回数 |
1 | 60%(20RM) | 15回 |
2 | 70%(12RM) | 10回 |
3 | 80%(8RM) | 8回 |
4 | 85%(6RM) | 6回 |
5 | 90%(4RM) | 4回 |
6 | 85%(6RM) | 6回 |
7 | 75%(10RM) | 10回 |
かなりの高強度トレーニングですが、筋肥大の効果が非常に高い方法です。
フラット・ピラミッド
アセンディングピラミッド法で使用重量を徐々に上げていき、メインセットを続けて数セット行うトレーニングテクニックです。
- 軽い重量から初めて徐々に使用重量を上げていく
- 最後に最も重い重量設定で数セット連続で行う
セット | 負荷%1RM(1回が限界の重量) | 回数 |
1 | 60%(20RM) | 15回 |
2 | 70%(12RM) | 8回 |
3 | 80%(8RM) | 5回 |
4 | 90%(4RM) | 4回 |
5 | 90%(4RM) | 4回 |
6 | 90%(4RM) | 4回 |
ポイントは以下の通りです。
- 1セット目・2セット目はウォームアップセット
- 3セット目はメインセットである4セット目に入るための重量に慣れるためのメモリーセット
- 4セット目以降からメインセットで最大筋出力の向上を狙う
メインセットでは高重量を連続して扱うため、最大筋出力向上の効果が非常に高いトレーニング法です。
一方で、このセット数では全体のボリュームは少なくなってしまいます。
そのため筋肥大の効果を大きくするには、セット数を増やすなどしてトレーニング強度を高めていきましょう。
ベンチプレスの筋肥大・筋出力を高めるトレーニングテクニック
では、ベンチプレス自体の効果を高める、トレーニングテクニックについて紹介します。
効果的なベンチプレステクニックを習得し、より大胸筋を発達させていきましょう。
ストップ・ベンチプレス
ストップ・ベンチプレスは、より高負荷を与えることができるトレーニングテクニックです。
中級者~上級者トレーニー向けとされています。
ボトムポジションまでダンベルをおろしたさい、力を入れたまま2秒~3秒止めてからダンベルを挙上。
ウェイトを大胸筋で受け止め勢いや反動を殺すことで、ウェイトの数字通りの負荷をマッスルコントロールにより与えられます。
また筋肉の緊張時間も長いため、より筋肥大につながる効果的な刺激を大胸筋へ与えることが可能です。
それだけでなく、ボトムで一度バーベルを静止させることで、自分がどの角度・どの位置からであれば最大出力を発揮できるのか、チェックもできます。
ベンチ・ダンベルプレス種目で負荷が逃げやすい方や、より筋肥大効果の高いトレーニングを求める方におすすめのトレーニング法です。
しかしストップテクニックはフォームの維持が通常と比べると難易度が高いため、正しいフォームで動作できる方にのみおすすめします。
ハーフレンジ・ストップベンチプレス
ハーフレンジ・ストップベンチプレスは、ハーフレンジ(ボトムとトップの間の真ん中)の位置で2秒~3秒止めてから挙上するテクニックです。
この動作により、負荷がより抜けづらくなることで効果が高まります。
大胸筋の緊張時間を長くできるので、筋肥大に効果的な負荷を最大化することが可能です。
また、ハーフレンジで止めてから挙上することで、1RM(1回で限界の重量設定)での挑戦で潰れそうになったとしても、粘り負けしない力を鍛えられるでしょう。
それに加えて、バーベルのコントロール力を身に着けられるため、最大出力向上にさらなる効果を発揮してくれます。
ストップベンチプレスとハーフレンジ・ストップベンチプレスを合わせることで、非常に効果的なトレーニングになります。
MI40法・ベンチプレス
アメリカのIFBBプロボディビルダーであるBen Pakulskiが提唱した、上級者向けトレーニング法です。
- ポジティブ(力を入れて挙上する) 動作を1秒
- ネガティブ(力を抑制してバーベルをおろす)動作を4秒
1レップに計5秒かけてしっかりと負荷をたたき込むやり方です。
これを最低でも8レップ行います。
8レップで「限界」の重量設定が重要になりますので、軽くしすぎないよう注意してください。
ネガティブ動作重視の高負荷トレーニングテクニックと言えるでしょう。
【やり方】
- 通常のベンチプレス動作時に、トップポジションまで上げるスピードを1秒で動作する
- ボトムポジションまでダンベルをおろすとき、4秒かけながらゆっくりとおろしていく
- 体幹は肘がブレやすくなるので、しっかり腹筋に力を入れて安定した動作を心がける
3段階・ベンチプレス(21rep法)
伝説のボディビルダーであるRonnie Colemanが好んで上腕二頭筋トレーニングにとりいれていたトレーニング法です。
上腕二頭筋だけではなく、大胸筋トレーニングにも応用できます。
ボトムからハーフレンジまでの下半分の可動域で7rep➡ハーフレンジからトップまでの上半分の可動域で7rep➡最後にフルレンジで全可動域を7repの計21回を連続で行いましょう。
異なる3つの可動域(ストレッチ・ミッドレンジ・コントラクト)を追い込むことで、さまざまなアプローチから効果的な負荷を与えられる高強度なトレーニング法です。
しかしこのトレーニング法は動作の中で3回もフォームを変えることになるため、非常にフォームが崩れやすいので注意して行いましょう。
中級者~上級者向けです。
パッドベンチプレス(ボードベンチプレス)
パッド・ボードベンチプレスは、バーベルと胸の間にスクワットパッドやボード(木の板やヨガボックス)などを挟み、あえて可動域を短くして行うテクニックのうちの1つ。
通常のベンチプレスに比べて、ボトム(バーベルをおろす位置)の位置が高くなる結果、可動域が短くなります。
その結果より高重量を扱えるようになるため、通常のベンチプレスでは扱えない高重量で大胸筋に大きな負荷を与えられます。
また、高重量でも回数を重ねられるようになるので、高重量高回数の最大筋出力向上に大きな期待ができる高強度トレーニングが可能になりますよ。
ベンチプレスのバリエーションとして非常にオススメなテクニックの一つです。
ポイントは次の2つ。
- パッド・ボードにバーが触れた瞬間に、爆発的挙上でバーベルを挙上する
- パッド・ボードにバーベルのウェイトを乗せず、触れた瞬間に挙上する
このテクニックにより、特に最大筋出力向上のほかにも、ハーフレンジ(ボトムとトップの間)からトップまでの粘り強さを鍛えられます。
従って1RM(1回で限界の重量)に挑戦するときにも、バーベルに押し負けることなく粘って押し切れる強さを身に着けることが可能です。
脚伸ばしベンチプレス
ベンチプレスで膝を折り曲げ脚を上げたまま動くテクニックは、脚の力を使わず大胸筋に集中したトレーニングが可能になります。
取り組んでいる方は多くいるでしょう。
しかし、この場合は背中のブリッジを形成できてしまうため、背中の出力も動員してしまいがち。
そうなると本来鍛えるべき大胸筋だけではく背中にも負荷が加わり、非効率なトレーニングになってしまいます。
そこで、脚伸ばしベンチプレスをしてください。
読んで字のごとく、ポイントは“脚を伸ばす”ことです。
脚を伸ばすことにより脚の力と背中の力の両方を殺せます。
それにより、負荷は必然的に大胸筋のみに入るようになるのですね。
非常に効果的なベンチプレストレーニングが可能です。
ボディメイク的観点で考えても、大胸筋の筋肥大に非常に効果的なバリエーションだと思います。
また、使用重量が通常のベンチプレスと比べて軽くなるので関節周りの安全性も高いこともメリットの一つです。
正しいフォームが何よりも大切
ベンチプレスだけでなく、すべてのエクササイズ・種目では基本的な動作フォームがなによりも大切です。
まずは正しいフォームをしっかりと身につけ、体で覚えることが必要。
それが結果的に、理想の肉体を作り上げるまでの近道です。
間違ったフォームのままトレーニングを続けると対象筋以外の筋肉も使ってしまい、適切な負荷が入りません。
そうなれば、いつまでたっても肉体に変化のない質の低いトレーニングになってしまいます。
それだけではなく関節・筋肉・腱を痛めてしまい怪我につながってしまうでしょう。
1度怪我をすると、完治するまでその部位を鍛えることができなくなります。
その期間にせっかくつけた筋肉を失ってしまううえ、他の部位のトレーニングに影響が出る可能性まであるのですね。
覚えていただきたいのは、正しいフォームを覚えることが理想の肉体への一番の近道であるということ。
「怪我」は筋トレの中で一番気を付けなければいけない脅威だということです。
ベンチプレスの効果を更に高めるコツ
ベンチプレスは非常に奥が深く、ただ単純にバーベルを上げ下げすればいいわけではありません。
質の高い負荷を大胸筋に与えることが重要で、そのためにはいくつかのコツがあるのでしっかりと習得しましょう。
マッスルコントロールを意識
マッスルコントロールとは、筋肉の出力によりウェイトを扱い制御するという意味。
すべての種目に共通することですが、ウェイトの数字通りの負荷を筋肉に与えなければ、そのウェイトを扱っている意味がなくなってしまいます。
たとえば、ベンチプレスでバーベルを下すときに力を抜いて勢いよくおろしてしまうと、負荷は減るだけでなくゼロになる場合もあるのです。
100kgのバーベルなのに、実際に筋肉に負荷として乗っているウェイトの重量は50kgだったり、ゼロになっていたりすれば悲しいですよね。
そのため、おろすときにも力を抜かず、筋肉にウェイトの数字通りの負荷を乗せたままおろす意識を持たなくてはなりません。
これがマッスルコントロールです。
マッスルマインドコネクション
マッスルマインドコネクションとは、「筋肉と脳神経のつながり」です。
なかやまきんに君の筋肉ルーレットのように、大胸筋をピクッピクッと動かすのを想像するとわかりやすいかと思います。
彼は筋肉を自由自在に操ることができるからこそ、あの芸ができるのですね。
筋肉を自在に操れるということは、筋トレでメインターゲットを効率的に効かせられるということ。
“負荷を感じる”というのもマッスルマインドコネクションでは重要です。
トレーニング中はメインターゲットの部位に対し負荷を感じながら動くことで、効かせるべき部位だけに効かせていきましょう。
バーベルをおろすときはゆっくりとおろす(ネガティブ動作)
筋肉へ負荷が入る瞬間は2つあります。
ポジティブ動作=力を入れてウェイトを挙げていくコンセントリック動作時と、ネガティブ動作=力を抑えてウェイトをおろしていくエキセントリック動作ですね。
エキセントリック動作はコンセントリック動作に比べ、“1.7倍の高重量”を扱えます。
つまりネガティブ動作のときは、より強い刺激を筋肉に与えられるわけです。
エキセントリック動作で負荷をしっかり入れるためには、3秒~5秒程度長い緊張時間で刺激するのがよいとされます。
肘を伸ばし切らない(ロックアウトしない)
肘を伸ばし切るとバーベルのウェイトは肩関節・肩甲骨に完全に乗ってしまい、大胸筋の緊張が途切れます。
肘は「8割程度」まででトップポジションを設定しましょう。
伸ばし切らないことで上腕三頭筋の動員も軽減できるので、大胸筋に対し質の高い負荷を与えられます。
トレーニングマシンのように同じ動作を意識する
トレーニングマシン種目のように、毎回の動作を同じようにきれい適切なフォームを維持しながら動作することが大切です。
これを、ストリクトフォームと言います。
ストリクトフォームは“正しい””正確な”“厳格な”という意味がある言葉。
つまり、反動を使わず丁寧で正しいフォームという意味になります。
正しいフォームをしっかりと身につけ、体で覚えることで最も効率的に対象筋への負荷を与えられます。
肩を落とす(下制)
ベンチプレスでありがちな間違った動きの1つが、肩が上がってしまうこと。
疲労によりバーベルを挙上しづらくなるとフォームが崩れて肩が上がり、肩の力を使って動いてしまいがちです。
肩の力を使うと本来は大胸筋に入るはずの負荷が分散してしまい、トレーニングの効果が半減してしまいます。
回数を重ねて疲労が蓄積しても、フォームを崩さず大胸筋に負荷を入れることを最優先することが大切です。
フライ系種目をあらかじめ行い、予備疲労を作る
これは、メインターゲットである大胸筋をある程度疲労させておくことで、より効かせやすくするという方法です。
軽めの重量でダンベルフライを先に行うことにより、軽い重量のデクラインベンチプレスでも大胸筋にしっかりと負荷を与えられます。
また、補助筋群(上腕三頭筋・三角筋前部)に負荷が入ってしまうという方も同じです。
先に補助筋群に予備疲労を与えることで、大胸筋下部に効かせやすくできます。
しっかり胸につくまでバーベルをおろす
ベンチプレスのやり方でよくある間違いが、バーベルを十分におろさず、挙上してしまうこと。
重量を上げることに意識がいき過ぎてしまう場合にあるミスですね。
高重量を挙げている気分にはなりますが、それは効果的・効率的なトレーニングとは言えません。
ベンチプレスでは、しっかりと大胸筋の筋繊維が伸ばされ、十分なストレッチ(伸展)の感覚があるまで落とす意識が大切です。
しっかりおろすことで大胸筋が大きくストレッチ(伸展)され、より多くの大胸筋筋繊維に負荷を与えられます。
可動域を短くすると、それだけ負荷も小さくなってしまいますよ。
バーベルを十分におろせない重量はオーバーウェイトです。
しっかりとおろせる重量設定を心がけてください。
可動域は大きく、バーベルをしっかりと胸に触れるくらいまでおろして動作することが大切です。
胸でバーベルをバウンドさせない
また、バーベルをボトムまでおろすときにバーベルを胸でバウンドさせ、その反発を使って挙上している方がいます。
このバウンド行為は、基本的に正しくありません。
というのも、胸でバウンドさせることでその反発を利用した分、勢いに任せてバーベルを挙上しているため、対象筋への負荷が小さくなるのです。
バウンド行為でそれぞれの筋肉の緊張時間が短くなるうえ、対象筋の収縮が十分に行えなくなります。
そのため効果的な負荷を加えられず、効果が低く時間の無駄になってしまいます。
また、勢いよくバウンドさせようとすると関節と筋肉に過度な負荷が加わるため、それらを傷めてしまう原因にもなり非常に危険です。
改善のために、下記のポイントを踏まえて取り組んでみてください。
- バーベルの上下動作をゆっくりと行う
- 使用重量を軽くする
- 胸に触れるくらい感覚でおろす
バーベルをバウンドさせ勢いをつけて挙上するということは、動作スピードが速すぎるということです。
そのため、ゆっくりとバーベルを動作させることでその勢いと反発を殺しましょう。
もし、それではバーベルを挙上できなかったり、コントロールするのが難しかったりといった場合は、バーベルの重量を軽くしてください。
しっかりと、適切なフォーム・適切な動作スピードで動作することができる重量に調整することが大切です。
お尻を浮かせない
お尻を浮かせると胸のブリッジが高くなりすぎ、十分な大胸筋のストレッチ(伸展)が得られず負荷が入りにくくなってしまいます。
また、お尻を浮かせるとより強い脚力でバーベルを挙上できるため、大胸筋への負荷が分散してしまう可能性もありますよ。
可動域を大きく広く、大胸筋をストレッチしきる
ベンチプレスではしっかりと大胸筋の筋繊維が伸ばされ、十分なストレッチ(伸展)の感覚があるまで落とす意識が大切です。
しっかりおろすことで大胸筋が大きくストレッチ(伸展)され、より多くの大胸筋筋繊維に負荷を与えられます。
可動域を短くするとより高重量を扱えますが、筋肥大のメカニズムで考えると、効率的なやり方とは言えません。
また高重量を扱うときは、正しいフォームでないと関節・腱・筋肉を怪我することにもつながるので注意が必要。
可動域は大きく、しかし肘は伸ばしすぎないという意識が重要です。
フォームが安定しない場合はスミスマシンを使用する
フリーウェイトのベンチプレスのフォームを習得するためには、スミスマシンは不向きであると解説しました。
しかし、それでも適切なフォームの習得が難しい場合、そのまま続けてしまうと怪我をしたり、非効率なトレーニングになったりするため、スミスマシンを使用したベンチプレスを行うのも一つの手です。
フリーウェイトのバーベルではバーベルの軌道がブレてしまったりフォームが崩れたりしやすい方は、スミスマシンを利用してみましょう。
セーフティバーがあるため安全性の高いトレーニングができます。
ベンチプレスをより効果的に活用できる大胸筋の筋トレメニューの順番
効果的に質の高いトレーニングを実現するため、トレーニングメニューの構成には基本的な順番が存在します。
まず覚えるべきは多関節運動(コンパウンド種目)と単関節運動(アイソレート種目)という概念です。
ここでしっかり覚えて、効果的なトレーニングを実践しましょう。
多関節運動(コンパウンド種目)
複数の関節・筋肉を使用する種目を指します。
ベンチプレスもコンパウンド種目の一つ。
ベンチプレスで使うのは、肩関節・肘関節・手首、そしてそれに伴う筋肉の大胸筋・三角筋(前部)・上腕二頭筋・上腕三頭筋です。
この他にも補助筋として、背中や脚の筋力も使用します。
多くの筋肉を同時に使用、出力するため、必然的に使用重量は重くなります。
つまり、多くの筋肉に負荷を与えることが可能になるのですね。
単関節運動(アイソレート種目)
アイソレート種目では、一つの関節のみ使用します。
たとえばダンベルカールもアイソレート種目です。
肘関節のみを使用し、肘を上下に動かしますよね!
アイソレート種目はコンパウンド種目と比べて使用重量は軽くなります。
メリットは、ターゲットとなる筋肉に対し重点的に負荷を与えられること。
また使用重量が軽くなるため、コンパウンド種目と比べて関節や筋肉への負荷も低く安全なトレーニングができますよ!
多関節運動(コンパウンド種目)→単関節運動(アイソレート種目)の順番がポイント
前述したように、多関節運動は多くの関節と筋肉を使用するため使用重量が重くなります。
そのため、先にアイソレート種目からトレーニングを始めてしまうと筋肉群が疲労、重量が扱えなくなってしまうため、コンパウンド種目にしっかり取り組めません。
つまり、トレーニングの順番は多関節運動(コンパウンド種目)→ 単関節運動(アイソレート種目)の順が基本的な流れ。
多関節運動からトレーニングをして筋肉が疲労し高重量が扱えなくなったとしても、単関節運動ではその影響は受けず、しっかりと鍛えこめます。
ベンチプレスの効果的な重量設定・回数・セット数について
ベンチプレスで効果的にトレーニングするためには、適切な重量設定・回数・セット数が非常に重要です。
このうちどれか一つでも間違ったやり方だと効果が半減してしまい、結果が期待できなくなってしまうでしょう。
ここで確認して、最大限の効果を得られるベンチプレスに取り組んでくださいね。
効果的な重量設定について
ベンチプレスは、多関節運動種目(コンパウンド種目)のため、必然的に使用重量は重くなります。
まずは適切なフォームで挙げられる重量で実践していただき、フォームが崩れない重量の範囲内で、重量を伸ばしていくようにしましょう。
回数の違いによる効果について
- 筋出力向上 1~5回
MAX重量を伸ばしたい場合は、筋出力が向上するメニュー組みがおすすめです。1-5回/1setが限界の重量を扱うようにしましょう。
- 筋量向上 6~10回
筋肉を大きくしたい(筋肥大)を目的とする場合は、筋肉量が向上するメニューを。6-10回/1setが限界の重量を扱うようにしましょう。
- 筋持久力向上 12~15回
筋持久力アップを目的とする場合は、12-15回/1setが限界の重量を扱うようにしましょう。
大胸筋の筋肥大に効果的なセット数について
一般的には最低でも“3セット”と聞いたことがあるかもしれませんが、実際のところ、これでは少ないと言われています。
3セットのみでは筋肥大に十分な負荷を与えられず、効果が表れにくいのですね。
最低でも5セット以上10セット以下
最低でも5セット以上はトレーニングすることがおすすめです。
筋肥大に効果的な負荷を与えるには筋肉の緊張時間を長くし、かつしっかり重量をかけてオールアウト(追い込み切る)することが重要。
また、筋出力向上の観点からしても、5セット以上でないとすべての筋繊維が使用されずに使用重量もあまり発揮されません。
つまり3セットではウォーミングアップレベルでしかないということになります。
パワーリフティングのトレーニングでは、8セット・10セットというのはごく普通のトレーニング強度です。
それくらいのセット数で追い込まなければ目に見える効果はなかなか表れてくれません。
しっかりとオールアウトさせることを意識してください。
ベンチプレスで推奨するサポートギア類について
より安全にトレーニングを行うためにおすすめなギアをここでご紹介します!
- リストラップ
- パワーベルト
リストラップ
手首を保護してくれるリストラップは、ベンチプレス・ダンベルプレス・ショルダープレスなどのプレス系種目におすすめなギア。
手首を安定させることでベンチプレスの挙上にフルパワーを使いやすくなり、より対象筋に効かせやすくなります。
リストラップは巻き方がとても重要! 動画でシェアしますね。
手首は関節の中でも特に痛めやすく、ウェイトの負荷が最もかかりやすい関節です。
そのため、最初に用意したいですね。
↓リストラップについてさらに詳しくはこちら
パワーベルト
腰を保護してくれるパワーベルトはBIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)のトレーニングをするうえで欠かせないギアです。
腰を痛めるのを防ぐほか、腹圧をサポートするため体幹の安定や筋出力向上の効果もあります。
リストラップに並んで用意したいギアですね。
↓パワーベルトについてさらに詳しくはこちら
ベンチプレスをより効果的にを行うストレッチについて
前述にもありますが、ベンチプレスは腰や背中への負荷が大きいため、必ず入念なストレッチをしてからトレーニングしましょう。
背中や腰のストレッチをすることで柔軟性が向上し、出力向上や可動域も広がります。
その結果、全体的なパフォーマンス向上につながるうえに、体が温まることで血流がよくなり怪我のリスクも軽減できます。
トレーニング後も同様に、しっかりとストレッチすることが重要ですよ。
トレーニング後は筋肉疲労や疲労物質が身体に蓄積し筋肉が緊張することで張りも出てきます。
入念なストレッチで筋肉の緊張をほぐし、筋肉をOFFの状態に戻すことで後々の筋肉痛軽減や怪我の予防、パフォーマンス低下を防げます。
フォームローラーでセルフマッサージをしてさらなるパフォーマンス向上へ
フォームローラーを使用すれば、簡単にセルフマッサージ(筋膜リリース)ができます。
筋膜リリースは、通常のストレッチだけではほぐせない体のコリや張りをより効果的に解消する手段。
背中や腰に使用すれば柔軟性もより向上するため、私もBIG3トレーニング前と後には必ずフォームローラーを使用しています。
まとめ
ベンチプレスという大胸筋を鍛えるトレーニングの一種目にしても、これだけたくさんのテクニックとセット法が存在することを知っていただけたかと思います。
それぞれのテクニック・セット法には長所・短所があるため、ご自身の目的に合わせて、自分に合うトレーニング法を実践してくださいね。
そして実行してほしいことは、あなたがどんな肉体になりたいのか、今一度目的意識を明確化すること。
自分が目指す肉体を実現するためにはどこの筋肉をどのように鍛え、どんな食事を摂る必要があるのか、それを初めに考えることが大切です。
ただ闇雲に重い重量を扱っていても、怪我のリスクの高い非効率なトレーニングになってしまうからですね。
「成果を生み出すための正しい思考を持ち、それが正しい行動を導き、結果につながる」わけです。
筋トレしながら常に論理的に考えながらトレーニングをしなければ、理想の肉体の実現は夢となるでしょう。
ボディメイクとは人体のメカニズム、科学的反応を用いて作り上げるものです。
ただウェイトを持って上げ下げすれば美しい肉体になるわけではありません。
トレーニングノウハウはもちろん大切ですが、それより大切な根本的な部分を忘れないようにしてトレーニングをしていただきたいと思います。
そうすればきっとあなたの思い描く肉体を手に入れ、あなたの思い描く素敵な人生を歩むことができるようになりますよ。
“No pain No gain”
他にもある、ベンチプレス のトレーニングと怪我防止に関する記事♪
↓ベンチプレスについてさらに詳しく解説しております。ご参考ください(^^)
AKI
最新記事 by AKI (全て見る)
- デッドリフトのバリエーション・種類を解説! それぞれの異なる効果で筋トレの幅を広げよう! - 2020年7月20日
- 【肩こりの改善・予防に効果的!】上背部(背中上部)の筋トレとストレッチ法で血行改善へ! - 2020年7月7日
- ランジトレーニングのバリエーションとランジストレッチ19種類の特徴と効果・やり方について解説! - 2020年6月20日