「ディップス」といえば(大胸筋・上腕三頭筋・三角筋前部)を効果的に鍛えられる自重トレですよね。
全身の体重を上半身で支えて取り組むため、対象筋に強烈な負荷を与えられます。
しかしその高い効果に伴い、ある程度の技術と基礎的な筋力がないと適切に取り組めないというデメリットも。
実際、そもそもディップスに取り組みたくてもちゃんとした動作ができない! という方も少ないようです。
そこで今回は、ディップスに取り組むことができるようになる効果的な方法について、解説を進めていきたいと思います!
なお、ディップスにしっかり取り組みたいならディップススタンドがおすすめ!
ディップスができる懸垂マシンも便利ですよ。
この記事の目次
ディップスの概要について
ディップスとは2本のバーを両腕で掴み、体を浮かせた状態で上下動作を行う自重トレーニング種目。
上半身全体を鍛えられます。
メインターゲットは「大胸筋」、サブターゲットは「上腕三頭筋」と「三角筋前部」です。
複数の関節と上半身の主要な筋肉を同時に鍛えられるため「上半身のスクワット」と称されます。
その効果の高さは世界中のトレーニーの間で不動のもの。
また、ディップスにはいくつかのバリエーションが存在していて、メインターゲットを変化できます。
専用のバーやスタンドがなくても「椅子」や「トレーニングベンチ」を利用できるので、気軽に取り組んでみましょう。
ディップスは高い効果の反面、ハードルが高い
ディップスを適切で正しいフォームで取り組むためには、一定の筋力とフォーム技術が必要です。
そのため、筋トレ初心者がいきなり取り組むにはハードルが高くなります。
ディップスに取り組めるようになるにはどうすればいいのかわからないという方も多いため、その方法について解説します。
まずは、全体重を支える必要のない「リバースプッシュアップ」から取り組んでいきましょう。
リバースプッシュアップは一見ディップスとは関係のない種目に思えるかもしれませんが、基本的な動作は同じです。
ディップスを行うためリバースプッシュアップに取り組む
ディップスに取り組める最低限の筋力を、段階的に身に着けていく必要があります。
そのためリバースプッシュアップのバリエーションを利用しましょう。
段階的に筋力をつけていけば、最終的にはディップスに取り組めます。
リバースプッシュアップは、ディップスと同じ動作でありながら負荷の軽い種目。
加えて負荷の調整もできるため、ディップス前のトレーニングとしては最適です。
筋トレが完全な初心者で、筋力に自信のない方は①番から取り組みましょう。
もし1番は簡単だよ! という方は、飛ばしてください。
目安としては、1種目につき20回程度取り組めるかどうか。
20回連続して達成できれば、次の種目に進みましょう。
ディップスに取り組むための筋力強化①ニーベント・リバースプッシュアップ
ニーベント・リバースプッシュアップは、リバースプッシュアップの中で最も負荷の低いバリエーションの一つ。
筋力が特に弱い方はこの種目から始め、基礎筋力を高めていきましょう。
ニーベント・リバースプッシュアップは、膝を曲げて床に足をついた状態で取り組みます。
そのむため脚の重さが軽減され、筋力に自信がない方でも上腕三頭筋の強化が可能です。
【ニーベント・リバースプッシュアップのやり方】
- 椅子・トレーニングベンチ・台などを利用して体の背面後方で両手をつく
- トレーニングベンチの端につく両手は、肘を伸ばしておく
- 手幅は肩幅より気持ち広めで置く
- 両膝は90度程度を目安にして折り曲げ、床に両足をつける
- 両肘を曲げながら体をおろしていく
- 肘の角度が90度程度に曲げるまでおろす
- その後肘を伸ばして体を起こしていく
※肘を曲げる際、肩関節の柔軟性が低い方は90度手前で痛みを感じる場合があります。
その場合は無理のない範囲内で取り組んでいきましょう。
ディップスに取り組むための筋力強化②ストレートレッグ・リバースプッシュアップ
ニーベント・リバースプッシュアップを20回以上できるようになったら、ストレートレッグ・リバースプッシュアップです。
この種目は両膝を伸ばして行うことで、上半身への負荷を高めたリバースプッシュに取り組めます。
段階的に筋力を強化していき、ディップスへとつなげていきましょう。
【ストレートレッグ・リバースプッシュアップのやり方】
- 椅子・トレーニングベンチ・台などを利用して体の背面後方で両手をつく
- トレーニングベンチの端につく両手は、肘を伸ばしておく
- 手幅は肩幅より気持ち広めで置く
- 両膝は伸ばしておき、かかとのみ地面につくようにする
- 両肘を曲げながら体をおろしていく
- 肘の角度が90度程度に曲げるまでおろす
- その後肘を伸ばして体を起こしていく
※肘を曲げる際、肩関節の柔軟性が低い方は90度手前で痛みを感じる場合があります。
その場合は無理のない範囲内で取り組んでいきましょう。
ディップスに取り組むための筋力強化③エレベーター・リバースプッシュアップ
次は両足を床から離して行うエレベーター・リバースプッシュアップに取り組んでいきましょう。
下半身の重量を上半身が支えることになるため、より上腕三頭筋や三角筋前部への負荷を高めたトレーニングができます。
【エレベーター・リバースプッシュアップのやり方】
- 椅子・トレーニングベンチ・台などを体の前後に配置する
- 体の背面に位置するベンチに両手をつく
- トレーニングベンチの端につく両手は、肘を伸ばしておく
- 手幅は肩幅より気持ち広めで置く
- 両膝は伸ばしておき、かかとを前に置いたベンチの上に置く
- 両肘を曲げながら体をおろしていく
- 肘の角度が90度程度に曲げるまでおろすのが目安
- その後肘を伸ばして体を起こしていく
※肘を曲げる際、肩関節の柔軟性が低い方は90度手前で痛みを感じる場合があります。
その場合は無理のない範囲内で取り組んでいきましょう。
ディップスに取り組むための筋力強化④ウェイテッド・リバースディップス
太ももの上にプレートウェイトを置き負荷を追加することで、より高強度に上腕三頭筋を鍛えられます。
エレベータータイプを20回程度取り組むことができるようになったら、プレートを追加してこの種目でさらに強化しましょう。
最初のうちは無理せず軽めの重量(5㎏)などからスタート。
最終的には20㎏プレートを乗せて取り組めるよう目指します。
ディップスに取り組むための筋力強化⑤ワンレッグ・リバースプッシュアップ
エレベーター・リバースプッシュアップを20回以上取り組めたら、次は片足を浮かせて行うワンレッグ・リバースプッシュアップです。
伸ばした両脚のうち片方を床から浮かせることで、上半身への関与がさらに高まります。
片足で取り組むためバランスも意識して取り組まなければならず、体幹も同時に鍛えられますよ。
【ワンレッグ・リバースプッシュアップのやり方】
- 椅子・トレーニングベンチ・台などを体の背面に配置する
- 体の背面に位置する台に両手をつく
- 手幅は肩幅より気持ち広めで置く
- 両膝は伸ばしておき、かかとを床につける
- 片方の脚を床から浮かせる
- 両肘を曲げながら体をおろしていく
- 肘の角度が90度程度に曲げるまでおろす
- その後肘を伸ばして体を起こしていく
※肘を曲げる際、肩関節の柔軟性が低い方は90度手前で痛みを感じる場合があります。
その場合は無理のない範囲内で取り組んでいきましょう。
ディップスに取り組むための筋力強化⑥ネガティブ・ディップス
ここからは、実際にディップスの前身となる「ネガティブ・ディップス」に取り組み、必要な筋力を身に着けましょう。
ここでいうネガティブとは、力を抑制しながら肘を曲げて体をおろす動作のことです。
【ネガティブ・ディップスのやり方】
- ディップスバーの前に高さのある台を用意する
- 用意した台の上に立ち、ディップスバーを両手で握る
- 両足を台から浮かせ、後ろでクロスさせ曲げる
- 両肘は伸ばしたまま、両腕だけで体全体を支える
- 上半身を気持ち前傾させながら肘を曲げ、体をおろしていく
- 肘の角度が90度程度になるまで体をゆっくりとおろす
- おろしたところで台の上に立ち、上記の動作を繰り返し行う
ディップスに取り組むための筋力強化⑦ゴムチューブ・ディップス
ゴムチューブ・ディップスは、通常よりも負荷を軽くしてディップスに取り組む種目。
トレーニングチューブの持つ「張力」を補助として利用します。
添付した動画にあるように、ディップスバーにゴムチューブをかけ、両脚のスネ部分にチューブを引っかけた状態でディップスをします。
これにより、通常のディップスが難しい方でもディップスに限りなく近い動作に取り組めるのです。
完全なディップスに挑戦する前に、ぜひお試しください。
【ゴムチューブ・ディップスのやり方】
- ゴムチューブをディップスバーの間にかける
- グリップがついているタイプであれば、グリップをバーに通して固定する
- グリップがない場合は、両手でバーと一緒に握ることで固定する
- 両脚のスネにゴムチューブが当たる位置で、ゴムチューブに乗る
- ゴムチューブがスネに固定したままディップスの動作を行う
いよいよ「ディップス」に取り組んでいきましょう!
ネガティブ・ディップスを10回程度取り組めていれば、いよいよディップスに挑戦です。
ディップスは基本的に大胸筋を鍛える種目。
体を前傾させた状態で動作をすることで、より効果的に大胸筋を鍛えられます。
ディップスでの動作には多少の練習が必要なので、無理に回数を意識して取り組む必要はありません。
対象筋である大胸筋の負荷を感じながら、適切な動作を心がけるようにしましょう。
【ディップスのやり方】
- ディップスバーの前に立ち、ディップスバーを両手で握る
- 両足を台から浮かせ、後ろでクロスさせ曲げる
- 両肘は伸ばしたまま、両腕だけで体全体を支える
- 上半身または体全体を前傾させ、30度程度で固定する
- 肘を曲げ、肘が90度近くなるまで体をおろしていく
- 大胸筋のストレッチを感じたら、肘をのばして体を元の位置まで上げる
- 肘をしっかりと伸ばし、大胸筋を収縮させる
通常のディップスを15回以上行えたら高強度のディップスに取り組もう!
上で解説した通常のディップスに15回以上取り組むことができたら、ひとまず目標達成ですね!
しかし、まだ終わりではありません。
通常のディップスに慣れてきたら、ウェイトをさらに追加して行う「高強度ディップス」に取り組んでいきましょう。
高強度ディップス種目①ウエイテッド・ディップス
ウェイテッド・ディップスとは「ディッピングベルト」というディップス専用の強化トレーニング器具を利用するメニュー。
体重+ウェイトの重量分負荷で、強烈に上半身全体を鍛えられます。
通常のディップスで15回以上取り組めた方は、この種目でさらに高次元なトレーニングに取り組んでいきましょう。
最近は一般的なスポーツジムでも置いてあるため、取り組みやすい種目です。
- 上半身を30度程度に前傾させ、動作を行う
- 上腕部分が床が平行になる位置まで下げていく
- 下げすぎてしまうと、三角筋に過度なストレッチがかかるため注意する
- 大胸筋のストレッチ(伸展)を感じるまでしっかりとおろす
- 肘を伸ばした際はしっかりと大胸筋を収縮させ、刺激を加える
高強度ディップス種目②ダンベルウェイテッド・ディップス
ダンベルウェイトテッド・ディップスは、ウェイテッド・ディップスのバリエーション。
この種目の特徴は、ディップス専用の「ディッピングベルト」がなくても、ウェイトの負荷を追加できるという点です。
ダンベルを両足で挟み、両膝を曲げて固定したままディップス動作を行います。
- かかと部分に乗せて膝を曲げるとハムストリングを使って固定できる
- 両足の甲の部分にダンベルを乗せて肘を曲げると、大腿四頭筋を使って固定できる
高強度ディップス種目③ジロンダ・ディップス
1940年代に活躍した伝説のボディビルダー「ビンス・ジロンダ(Vince Gironda)」氏から名づけられた、ディップスのバリエーション。
このジロンダ・ディップスの最大の特徴は「手の角度が通常とは反対」という点です。
手首を内側にしてバーを握りディップス動作を行うことで、大胸筋中部・大胸筋上部まで鍛えられます。
通常のディップスと共にこの種目にも取り組み、大胸筋全体を鍛えていきましょう。
【ジロンダ・ディップスのやり方】
- ディップスバーを親指が内側・小指が外側になるように握る
- 背中を丸め、アゴを大胸筋上部のあたりにつけて固定する
- 両膝を伸ばしたまま前方に向かって伸ばし、顔より先につま先があるようにする
- 横から見たときに「くの字」になる姿勢で固定し、肘を曲げてカラダをおろしていく
- 大胸筋のストレッチを感じたら、肘をのばして体を元の位置まで上げていく
- 肘をしっかりと伸ばし、大胸筋を収縮させる。
大胸筋と上腕三頭筋、それぞれに特化したディップスのやり方
ディップスは「大胸筋」に負荷を集中させて行うタイプと「上腕三頭筋」に負荷を追加したタイプ、2つが存在します。
しっかりとそれぞれのやり方について確認しておきましょう。
【大胸筋】に特化したディップスのやり方
- 上半身を30度程度前傾させた状態のまま動作を行う
- 両脚を後ろでクロスさせ、後方に伸ばすようにすると前傾しやすい
- 手幅を広げ、肘も外側に開くようにして動く
- 利用するディップスバーの幅を肩幅よりも広く設定し、より大胸筋に負荷を集中させる
- 動作中は常に大胸筋の収縮・伸展を意識して行う
上記のポイントを押さえて行うことで、大胸筋への負荷に特化したディップスを行えます。
【上腕三頭筋】に特化したディップスのやり方
大胸筋の関与を減らし、より上腕三頭筋に負荷を集中させるやり方について解説をします。
上で解説したやり方とは正反対の動作を行うことで、上腕三頭筋を鍛えましょう。
- 上半身を前傾させず、床に対して垂直に近い角度のまま動作を行う
- 両脚を伸ばし気味で行うことで、垂直での動作がしやすくなる
- 肘は外側に広げるのではなく、閉じ気味のまま動作を行う
- ディップスバーの幅を肩幅よりも短目に設定し、より上腕三頭筋に負荷を集中させる
- 肘を曲げて体をおろしていく際、肘を外側に開くのではなく、前後動作になるよう行う
- 脇を閉じたまま動作を行うイメージ
- 動作中は常に上腕三頭筋の収縮・伸展を意識して行う
筋トレ初心者は「アシスト・ディップスマシン」の活用もおすすめ
ディップスを行うためのトレーニングとして「アシスト・ディップスマシン」を利用するのもおすすめです。
このマシンを利用すればウェイトによる重みで補助しながらディップスに取り組めるため、筋力が弱い方にとって効果的。
ウェイトによる負荷を段階的に小さくしていくだけで、最終的には自重でのディップスに取り組めるようになります。
このアシスト・ディップスマシンは、最近では一般的なスポーツジムでも置いてあるため、ぜひ活用してみてください。
まとめ
ディップスに取り組むためのトレーニングテクニックや、効果的なディップスのやり方まで解説をしました。
この記事にある種目に取り組むことで、ディップスに必要な筋力を身につけられます。
段階を踏みながら、上半身を効果的に鍛えられるディップスに取り組んでいきましょう。
“No pain No gain”
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AKI
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