べンチプレスは、主に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋に効果のあるバーべル種目。
実は、バーベルを握る手幅を変えることで、それぞれの部位にかかる負荷の比重を変化させられます。
自分の筋トレ目的に合わせた最適な手幅で取り組むことで、より効果の高いベンチプレスにできるのです。
今回は、ベンチプレスの手幅の違いによる効果・注意点などについて解説していきます!
この記事の目次
ベンチプレスの手幅のバリエーション3選
では、手幅のバリエーションの紹介と、それぞれの手幅の違いによる効果についてみていきましょう。
- ノーマルグリップ
- ナローグリップ
- ワイドグリップ
①ノーマルグリップでのベンチプレス
ノーマルグリップベンチプレスは、最も一般的な手幅での取り組みです。
後述する「ナローグリップ」「ワイドグリップ」の真ん中の手幅が「ノーマル」のこと。
基本的にノーマルグリップは「肩幅の1.5倍」程度を目安に握った位置を指します。
適切な位置は、バーべルをおろして胸につき「両肘の角度がちょうど90度」になるところ。
もしくは「床に対して前腕部が垂直」になる位置です。
また、ノーマルグリップは肩関節と肘関節それぞれに、極端な負担がかかりにくいという特徴があります。
つまり、一つの関節に負荷が集中しにくく分散されやすいため、関節を痛めにくいのですね。
バランスよく上半身を鍛えたいのであればノーマルグリップがおすすめ
ノーマルグリップのメリットは、大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋への負荷のバランスが優れているという点。
れぞれの部位にバランスよく刺激を加えられるため、”上半身をとにかく大きくしたい!”という方には、最適な手幅です。
ノーマルグリップによる筋肉への負荷の比重
ノーマルグリップでベンチプレスに取り組む場合、関与する関節は「肩関節」と「肘関節」です。
メインターゲットとサブターゲットは以下の通りです。
- メインターゲット
- 大胸筋
- サブターゲット
- 三角筋前部
- 上腕三頭筋
②ナローグリップでのベンチプレス
ナローグリップとは、ノーマルグリップよりも狭い手幅のこと。
基本的に、ナローグリップには厳密な目安はありません。
とりあえず肩幅より狭い手幅であれば、すべてナローグリップと言われます。
バーベルを胸におろしたさいに、ノーマルグリップであれば、床に対して垂直になりますよね。
しかし、ナローグリップの場合は肘の内側に傾く形になります。
結果、肩関節の関わりが抑制され、肘関節がより強く関わるという特徴を持つのです。
そのため、肩関節に痛みを感じる方であれば、ナローグリップの方が痛みにくいベンチプレスに取り組めるでしょう。
反対に、肘関節に痛みを感じる方がナローグリップで取り組んでしまうと、より痛みを感じやすくなってしまいます。
上腕三頭筋を特に鍛えたいのであればナローグリップがおすすめ
ナローグリップのベンチプレスでは、肘関節への関与が強くなります。
従って、肘関節の主動筋となる「上腕三頭筋」により強い負荷をかけられるのです。
一方で肩関節への関与が抑制されるため、大胸筋と三角筋前部への負荷は軽減。
そのため、ナローグリップでは上腕三頭筋がメインターゲット、大胸筋と三角筋前部がサブターゲットとなります。
- メインターゲット
- 上腕三頭筋
- サブターゲット
- 大胸筋
- 三角筋前部
ナローベンチプレスで鍛えられる上腕三頭筋とは
ナローグリップのベンチプレスでは、腕の裏側にある上腕三頭筋を強く刺激できます。
上腕三頭筋は、腕(上腕)の3分の2のサイズを誇る大きな筋肉。
この部位を鍛えることで、より効率的に腕を太くできるという特徴があります。
腕の筋肉といえば「力こぶ」と呼ばれる部位である「上腕二頭筋」が有名ですよね。
しかし上腕二頭筋は上腕三頭筋と比較するとサイズが小さいため、腕を太くするにはあまり重要部位ではありません。
また、上腕三頭筋を強化することで、より高重量のベンチプレスができるようになります。
③ワイドグリップでのベンチプレス
ワイドグリップは、ノーマルグリップよりもより広く握る手幅。
ノーマルグリップは基本的に肩幅の「1.5倍」程度を目安にしますが、ワイドグリップは「1.6~1.9倍」までの手幅です。
ワイドグリップが良く採用されるシーンといえば、重量上げのパワーリフティング競技におけるベンチプレス。
ワイドグリップの特徴は、手幅が広いことで胸までの可動域が狭くなり、より重い重量を挙上できるというもの。
そのため、パワーリフティング競技で利用している選手が多いのですね。
ワイドグリップの注意点
ワイドグリップはより重い重量を挙上するのに適した手幅であると前述しました。
しかし、肩幅の2倍程度と広いワイドグリップでのベンチプレスでは、肩関節の過度な関与が引き起こされます。
つまり、デメリットは肩関節を痛めやすいということ。
ワイドグリップでの高重量のベンチプレスでは、肩関節の腱・上腕骨へ強い負荷が加わります。
よって、基本的にボディメイクでの目的でベンチプレスに取り組む方は、利用しないようにしましょう。
ワイドグリップによる筋肉への負荷の比重
ワイドグリップによる筋肉への負荷の比重については、諸説があります。
しかし基本的には「大胸筋」が最も強く関与し、大胸筋の中でも特に「大胸筋外側」に負荷が集中しやすい種目です。
手幅が広くなれば上腕三頭筋への関与がより低くなり、その分の関与率は大胸筋に加わります。
メインターゲットとして大胸筋を鍛えられますが、ワイドグリップでは可動域が短くなるため大胸筋の最大伸展・最大収縮が行われません。
そのため、ボディメイク的観点からすると筋トレ効果は低いとされています。
基本的にワイドグリップでのベンチプレスは、MAX重量の挑戦のみ有効な手幅。
普段のトレーニングには不向きということを覚えておきましょう。
- メインターゲット
- 大胸筋
- サブターゲット
- 三角筋前部
- 上腕三頭筋
ベンチプレスの手幅は目的に合わせて使い分ける
紹介した3つの手幅にはそれぞれの特徴があるため、トレーニングの目的に合わせて適切な手幅で取り組んでください。
目的に合った手幅で取り組むことにより、筋トレ効果を高めることにつながりますよ。
まずは自分のトレーニングに対する目的意識について、再度見つめ直してみましょう。
【リフター流】3つの手幅を活用した、ベンチプレス100kgを挙上するためのトレーニング法
では、上で解説した異なる3つの手幅を利用して、ベンチプレス100㎏を挙上するためのトレーニングテクニックについて解説します。
①ノーマルグリップベンチプレスで地力を強化する
ノーマルグリップでのベンチプレスは、大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋への負荷のバランスが優れています。
そのため、ベンチプレスの「地力」を強化するためにはノーマルグリップで取り組むことがおすすめです。
ちなみに、ナローグリップでは上腕三頭筋への関与が強く、大胸筋・三角筋前部への負荷が減少。
そのため、ナローグリップでのトレーニングを続けてしまうと、ベンチプレスは弱くなってしまいます。
また、ワイドグリップでのトレーニングでも、結果的に弱くなってしまううえ、関節を痛めてしまう原因になることも。
地力を強化するトレーニングではおすすめできません。
②ナローベンチプレスで上腕三頭筋を強化する
ナローベンチプレスは、上腕三頭筋に強烈な負荷を加えられます。
ベンチプレスで100㎏を挙げるためには、大胸筋の動作に協働する「上腕三頭筋」の筋出力を強化しなければなりません。
そのため、ノーマルグリップで地力を鍛えるトレーニングをメインにし、ナローベンチプレスは補助トレとして取り組みましょう。
③メインセットはノーマルグリップで8セット・補助トレでナローグリップ5セットがおすすめ
おすすめは「メインセットをノーマルグリップで8セット」の後に「ナローグリップで5セット」です。
そうすれば、総合的にベンチプレスを強化できます。
このトレーニングを週に2~3日取り組み続ければ、結果的にベンチプレスの挙上重量を伸ばせるでしょう。
④MAX重量に挑戦するさいはワイドグリップ
ワイドグリップにすると、バーベルの可動域が狭くなるため、より重い重量での挙上が可能になります。
そのため、普段のトレーニングではノーマルとナローで取り組み、MAX重量に挑戦するさいはワイドグリップに挑戦しましょう。
しかしながらワイドグリップは肩関節を痛めやすいというデメリットもあるため、注意しながらにしてくださいね。
ベンチプレスの挙上に慣れた方のみワイドグリップで取り組むようにしましょう。
まとめ
今回は、ベンチプレスの手幅の違いによる違い・効果について、解説しました。
ベンチプレスには「ノーマル・ナロー・ワイド」の3つの異なる手幅があります。
それぞれの特徴をしっかりと理解し、自分トレーニングの目的に合った手幅でベンチプレスに取り組んでいきましょう。
“No pain No gain”
【関連記事】他にもある大胸筋に効果的な筋トレ情報についてはこちら♪
AKI
最新記事 by AKI (全て見る)
- デッドリフトのバリエーション・種類を解説! それぞれの異なる効果で筋トレの幅を広げよう! - 2020年7月20日
- 【肩こりの改善・予防に効果的!】上背部(背中上部)の筋トレとストレッチ法で血行改善へ! - 2020年7月7日
- ランジトレーニングのバリエーションとランジストレッチ19種類の特徴と効果・やり方について解説! - 2020年6月20日