フリ―ウェイトトレーニング種目で、胸(大胸筋)を鍛える代表的な種目といえば「ベンチプレス」ですよね。
それに対し、マシンで大胸筋を鍛える代表的な種目と言えば「バタフライマシン」を利用したチェストフライです。
ベンチプレスと「バタフライマシン」を組み合わせることで、大胸筋の筋肥大効率を格段に向上させられます。
今回は、バタフライマシンの基本的な使い方・効果などについて解説します!
この記事の目次
バタフライマシンの概要
バタフライマシンは、開いた両腕を胸の前に閉じるように動く(フライ系)ことで「肩関節水平内転動作」を引き起こし、大胸筋を効果的に鍛えます。
マシンということはつまり、アームの軌道はがっちりと固定されているのですね。
そのため、高重量の利用時にどうしても起こりがちなブレを抑制しながら「肩関節水平内転動作」を集中して引き起こせます。
大胸筋以外では、肩の前面に位置する「三角筋前部」も同時に刺激可能です。
取り組むには専用の「マシン」が必要ですが、一般的なジムであれば用意されていることが多いため、取り組みやすい種目でしょう。
バタフライマシンは筋トレ初心者にもおすすめ!
前述したように、バタフライマシンは軌道が固定されているため、純粋に「肩関節水平内転動作」に集中できるのが特徴です。
筋トレ初心者や筋力に自信がない方でも適切な動作で取り組めるため、誰でも簡単にトライできます。
フォームに自信がない方はまずバタフライマシンから取り組み、動きに慣れるようにしましょう。
筋トレ中級者~上級者には「高重量を利用しても動作にブレが生じない」というマシン系種目の特徴を活かした高強度なトレーニングができますよ。
ダンベルフライとバタフライマシンの効果の違い
大胸筋のフライ系種目を代表するもう一つに「ダンベルフライ」があります。
ダンベルフライは”トレーニング器具の王様”という異名をもつ「ダンベル」を利用する、フリーウェイトトレーニング種目。
ダンベルとマシン利用でどう違うのか、両者のトレーニング効果の違いついてみていきましょう。
違い①フライ動作に100%集中できる
ダンベルはフリーウェイト器具です。
つまり、動作中の軌道を全て自分の筋力によってコントロールしなければなりません。
そのため、適切に取り組むためには「相応の筋力・テクニック」を必要とします。
その反面、バタフライマシンは軌道が固定されています。
つまり、自分の筋力で軌道をコントロールする必要がなく、100%フライ動作(肩関節水平内転動作)に力を発揮できるのです。
違い②大胸筋への負荷が抜けづらい
2つ目の効果の違いは、大胸筋への負荷の抜けづらさです。
フリーウェイト器具の特性である「重力方向にのみ負荷がかかる」が、ダンベルフライでは「負荷が抜けやすい」というデメリットになります。
動作中に両手を閉じすぎてしまうと、ダンベルによる負荷を骨で支えられてしまうことに。
その結果、対象筋である「大胸筋」の負荷が抜けてしまうのです。
それに対しバタフライマシンでのチェストフライでは、両手を閉じ切ってもマシンによって引っ張り続けられることで負荷が抜けません。
全可動域で負荷を大胸筋に掛け続けられるという特徴があります。
対象筋の負荷が抜けづらく負荷が掛かり続けるため、その分筋トレ効果はより高いものになるのです。
ペックフライとバタフライって一緒? それとも違う?
「バタフライマシンチェストフライ」と同じの動きのもので「ペックフライ」と呼ばれているものがあります。
実際、動作を見てみても全く同じチェストフライ動作を行っているようにしか見えません。
そのため、2つはなにが違うの? と疑問に思っている方も少なくないのではないでしょう。
しかし、両者には明確な「違い」が存在します。
肘パッドの有無
ペックフライマシンには、バタフライマシンにはない「肘パッド」が装備されています。
バタフライマシンは両腕をある程度伸ばした状態で、両手にグリップを持つマシンです。
一方、ペックフライマシンは肘を90度程度に曲げた状態で、肘パッドに肘部分を固定します。
そうすることで「腕の力が関与しにくい」状態にするのですね。
腕の力が関与しにくいということは、それだけ大胸筋への負荷をより高められるということ。
バタフライマシンでは腕を伸ばし気味な角度でフライ動作を行うため、腕の上腕二頭筋と前腕筋によって大胸筋への負荷が分散する可能性があります。
そういった点で考えると「ペックマシン」の方が、より大胸筋に負荷を集中させることには優秀です。
とは言え、あくまで個人の好みによって分かれるので、自身で試してみて自分が取り組みやすいと感じたマシンで取り組みましょう。
バタフライマシンの特徴から考える筋トレ効果
バタフライマシンの特徴は、肩関節水平内転動作により、広い可動域で動作できること。
大胸筋の筋線維の走行に沿って筋肉を動かしていくため、ストレッチ種目に分類されます。
ストレッチ種目とは「対象筋が伸ばされて伸展した瞬間に最大負荷が加わる」種目のこと。
パンプアップを引き起こすのに最適です。
筋肥大に効果的な「パンプアップ」とは?
前述したように、バタフライマシンはストレッチ種目に分類され、ストレッチ種目はパンプアップを引き出すのに最適です。
パンプアップとは「筋肉に負荷が掛かった状態で使われることで、筋肉に供給される血流量が一時的に増加し、酸素・栄養の供給量が増える現象」のことを指します。
筋肉に供給される「酸素・栄養」が増えるということは、それだけ筋肉の合成をより促進させる効果があるということ。
つまり、このマシンによるトレーニングは、筋肥大の効果に非常に優れた種目であるということです。
ベンチプレス→バタフライマシンの順番で取り組むのが最も効果的!
大胸筋を最も効率的に鍛えられる代表的な種目・ベンチプレスは「ミッドレンジ種目」に分類されます。
ミッドレンジ種目とは「伸展と収縮の間で最大負荷がかかる種目」のこと。
ストレッチ種目と比べ、より重い高重量による強烈な負荷で対象筋を鍛えられるという特徴があります。
このミッドレンジ種目に分類される種目は基本的に「プレス系種目」です。
つまり、ベンチプレスやダンベルプレスが大胸筋を鍛えるプレス系種目として当てはまります。
高重量を利用したミッドレンジ種目(ベンチプレス・ダンベルプレスなど)に取り組んだ後、バタフライマシンでパンプアップ狙いのトレーニングを行うことで、より高い筋肥大効果を引き出せますよ。
バタフライマシントレーニングの基本的なやり方
ここでは最も一般的な「バタフライマシン」を利用した取り組み方について解説します。
【基本的なやり方】
- マシンのシートの高さと、アームの可動域を調整する
- シートの適切な高さは、グリップを握る手がバストトップあたりの高さにくる高さ
- 左右のアームの可動域は、大胸筋がストレッチ(最大伸展)できるよう広く調整する
- マシンに座り、腰と下背部をバックシート部に密着させる
- 背筋を伸ばし、胸を軽く張る
- 両肘は8割程度伸ばし、伸ばし切らないよう注意する
- ここまでがセットアップ
- 次に、肘の角度は固定したまま、肩関節の動作だけで両腕を閉じるように動く
- 両腕をを閉じたら、大胸筋に力を入れて最大限収縮させる
- その後、ゆっくりと両腕を開いていき、大胸筋がストレッチ(最大伸展)するまで開く
- 上記の動作を繰り返す
バタフライマシンを利用したバリエーション種目2選!
では続いて、本題のマシンを利用して行うバリエーション種目について解説します!
バタフライマシンのバリエーション種目①リバースフライ
この種目は、バタフライマシンに向き合う形で座り、体幹後方に向かってフライ動作を行うバリエーションです。
背筋の主要な筋肉「僧帽筋上部・中部」や、三角筋の後ろに位置する「三角筋後部」といった上背部を効果的に鍛えられます。
通常のチェストフライでは、上半身の「前面部に位置する筋肉」をメインに鍛えます。
しかし、このバリエーション種目の場合、上半身の後方側に位置する筋肉がメインになるのが特徴です。
【リバースフライのやり方】
- シートの高さを「上腕部」が床と平行になる程度の高さに調整する
- マシンに対して向き合う形でシートに座り、上半身の前面をバックシートに密着させる
- アームの「水平グリップ」を両手で持ち、体幹後方に向かって両腕を開いていく
- 「僧帽筋上部・中部」「三角筋後部」への負荷を感じながら動く
バタフライマシンのバリエーション種目②ワンアーム・チェストフライ
通常のチェストフライと同じの動きを「片腕ずつ」行うことで、両腕で行うよりも広い可動域を活かして取り組めるバリエーションです。
片腕ずつ取り組むことでより「肩関節水平内転動作」を強く引き起こせるため、強烈に大胸筋を収縮できるのが特徴。
また、片側ずつ動作をすることで「筋力差・形・大きさの是正」にも効果的な種目です。
【ワンアーム・チェストフライのやり方】
- 通常のチェストフライと同様のセットアップを行う
- 両手でそれぞれのアームのグリップを持ったまま、片側ずつフライ動作を行う
- 体幹が捻じれてしまうと効果的に肩関節の内転動作を行えないため、体幹は正面で固定する
- 胸の前で動作できる可動域の範囲内で、できるだけ深く閉じていくように動く
バタフライマシンの筋トレ効果を最大化するためのコツ5選
では、バタフライマシンの筋トレ効果を最大化するためのコツについて解説します。
コツを踏まえた上で取り組むことで、バタフライマシントレーニングにより効果的に取り組んでいきましょう。
バタフライマシンの効果的なコツ①大胸筋のストレッチ(最大伸展)
1つ目のコツは、「大胸筋のストレッチ(最大伸展)を意識する」です。
ウェイトトレーニングでは、ウェイトによる負荷を掛けながら対象筋を「収縮・伸展」させることで鍛えます。
そのため、対象筋を最大限「収縮・伸展」させることで、より大きな負荷を与えられるのです。
反対に、可動域を狭くして取り組むとその分負荷も弱くなるため、筋トレ効果は低くなることに。
バタフライマシンは、取り組む前のマシンのセットアップで可動域を調整できます。
マシンのアームを、大胸筋が最大伸展させられる位置まで出来るだけ広く調整するように意識しましょう。
バタフライマシンの効果的なコツ②大胸筋のコントラクト(最大収縮)を意識する
上では、大胸筋の伸展が重要だと解説しました。
このストレッチ(伸展)と同じくらい重要なのが「最大収縮」です。
大胸筋へ強烈な刺激を加えるためにも、フライ動作のさいには両腕をしっかり閉じて思い切り大胸筋に力を入れましょう。
コツとしては、両腕を閉じたら1秒2秒程度閉じたまま負荷に耐えて静止すること。
より強い収縮感を得られます。
広い可動域で動作することを意識し、ダイナミックな動作で取り組むようにしましょう。
バタフライマシンの効果的なコツ③肩甲骨を固定せず、解放したまま動作する
一般的に、大胸筋を最も効果的に鍛えるためには「肩甲骨を寄せた状態で動作する」ということが基本とされています。
しかし、バタフライマシンの場合は「肩甲骨を解放する」ことが重要です。
というのも、バタフライマシンの動きに肩甲骨を寄せたまま取り組むと、十分な収縮を行えないからです。
そのため、より強く大胸筋を収縮させるためにも肩甲骨を開いて動くことが大切。
より強く大胸筋を収縮し、強烈な刺激を加えられますよ。
バタフライマシンの効果的なコツ④肘の角度を固定したまま、肩関節の動作でのみで取り組む
バタフライマシンは肩関節の動作のみで取り組むのが適切です。
しかし、アームのグリップを持ちながら動くさいに、どうしても「肘関節」が関与しやすくなります。
バタフライマシンの動きで肘を同時に動かしてしまうと、肘関節に関与する「上腕二頭筋」が関与。
本来大胸筋に加わるはずの負荷が腕に分散してしまうのですね。
負荷が分散するとその分大胸筋への刺激も弱まるため、筋トレ効果が弱くなります。
腕への負荷の分散を防ぐためにも、しっかりと肘の角度は固定した状態のまま肩関節の動きのみで取り組みましょう。
バタフライマシンの効果的なコツ⑤ネガティブ動作をゆっくりと行う
ネガティブ動作は「力を抑制してウェイトをおろす動作」のこと。
バタフライマシンでは「閉じた両腕を開いていく動作」がネガティブ動作です。
しかしバタフライマシンでは「力を出して両腕を閉じるポジティブ動作」にばかり意識が向いてしまい、その後のネガティブ動作で力を抜いてしまいがち。
ネガティブ動作で力を抜いてしまうと、大胸筋の緊張が途切れ、負荷が抜けることになります。
対象筋への負荷が抜けてしまうと、その分筋トレ効果も弱くなることに。
そのため、ネガティブ動作のさいは「重力に抵抗しながらゆっくりと動作する」ようにしましょう。
そうすることで対象筋への負荷が抜けることなく、効果的に鍛えられますよ。
バタフライマシンをより効果的に行うためのテクニック2選!
MI40法
アメリカのIFBBプロボディビルダーである「Ben Pakulski」が提唱した上級者向けトレーニング法です。
ポジティブ(力を入れて挙上する) 動作を1秒
ネガティブ(力を抑制してバーベルをおろす)動作を4秒
1回に計5秒かけてしっかりと負荷をたたき込むやり方です。
これを最低でも8回行います。
8回で「限界」の重量設定が重要になりますので、軽くしすぎないよう注意してください。
“筋肉に休憩する瞬間を与えない”ことがより効果を高めるポイントです。
「筋肉が限界に達する強度のトレーニングを、持続的に筋肉の緊張時間が長くすることによって、強い負荷を筋肉に与え、筋肉を大きく増強させる」
そんな、上級者向けのトレーニング法です。
ドロップセット
ドロップセットとは、高負荷のトレーニングでこれ以上挙上できない限界まで筋肉を追い込んだ後、インターバルをとらず、即座に少しだけ負荷を下げて再び限界まで筋肉を追い込むトレーニング法です。
たとえばケーブルクロスオーバーだと下記のようになります。
- 50kg 10回
- 35kg 10回
- 25kg 10回
計30回休憩なしでそれぞれの重量で限界まで追い込みます。
このドロップセットも「MI40法」同様、“筋肉に休憩する瞬間を与えない”ことがより効果を高めるポイントです。
まとめ
今回は、大胸筋の筋肥大に効果的な「バタフライマシン」について解説しました。
バタフライマシンは、大胸筋のストレッチ種目として最も効果的な種目の一つです。
大胸筋を鍛える代表的なプレス種目である「ベンチプレス」と一緒に取り組み、より効果を高めましょう。
“No pain No gain”
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