大胸筋下部をを鍛えて立体的な胸に!デクラインベンチプレスのやり方と効果的なトレーニング法について解説します!
くっきりとした大胸筋は男性であれば誰しも憧れですよね。デクライン(大胸筋下部)を鍛えると大胸筋の形をくっきりと表現してくれるので、確かな存在感をもたらしてくれます。
大胸筋下部のシルエットは胸筋の厚み、発達をより強調してくれる頼もしい部位なので、しっかり鍛えていきたいものです。
今回はそんな大胸筋下部を鍛えるのに最適なトレーニング種目である、“デクラインベンチプレス”のやり方とフォーム、バリエーション、さらにはより効果的なトレーニングが可能になるコツの解説まで大胸筋下部のすべてを解説していきます!
この記事の目次
デクラインベンチプレスの概要について
デクラインベンチプレスとは、大胸筋を鍛えるウェイトトレーニングの中でも、王道トレーニング種目とされるバーベルとベンチ台を使用したトレーニング種目です。
ベンチ台をマイナスの角度、頭を下にして体を斜め下方向にデクラインの姿勢で行います。
通常のフラットベンチプレスと同様に、バーベルを真上に押し上げる動作ですが、このデクラインベンチプレスの場合は頭が低い位置にあるため、バーベルを押し上げる方向が、斜め下方向に向けて押し上げる形になります。
このため大胸筋下部に特に負荷を与えることができる動作になります。
大胸筋下部(デクライン)を集中的に鍛えたいときに最適なトレーニング種目といえます。
また、バーベルを押し上げる際に、肘関節伸展動作が加わるため上腕三頭筋もサブターゲットとして鍛えていくことが可能です。
一方、通常のフラットベンチプレスでは大きく関与する、三角筋前部がデクラインの姿勢(頭が下方向に斜め)のため、関与が少なくなり三角筋前部への負荷を与えるには最適な種目とはいえません。
反対に三角筋前部への関与が少ないことで、必然的に大胸筋への関与が高まるため、三角筋前部に負荷が逃げにくく、より大胸筋に集中したトレーニングが可能になるというメリットもあります。
【参考記事】三角筋に効果のあるトレーニング
https://magazine.steadyjapan.com/parts/kata-kintore-katahaba-matome.html
デクラインベンチプレスは大胸筋下部だけではなく“大胸筋全体”にも効果的な種目
デクライン系種目は、大胸筋下部に特化したトレーニング種目として一般的には認知されていますが、実は大胸筋全体にも非常に効果的なトレーニング種目でもあります。
前述したとおり、頭が低くなるように斜めの姿勢になるため、三角筋前部への関与が低くなることで、通常のフラットベンチプレスとは異なり、大胸筋への関与が高まることで大胸筋全体へ負荷を与えることができるようになります。
さらに、胸からみぞおちの下あたりまでの位置がデクラインの姿勢では高くなるため、可動域が短くなり、その分フラットベンチプレスと比べるとより高重量を扱うことができるというメリットもあります。
世界を代表するトップボディビルダー達も、大胸筋全体を筋肥大させるために、デクラインベンチプレスに取り組んでいる方が多いです。
デクラインベンチプレスを行うには、可変式のベンチ台とパワーラック、バーベル・ダンベルなどいくつかの器具が必要になりますが、スポーツジムでは基本的にどの器具も揃っています。
基本的にフォームは通常のフラットベンチプレスと変わらず、初心者の方でも効果的なトレーニングが可能になります。しかし通常のフラットベンチプレスと比べて頭が低い位置にあるため、いくつか注意すべき点があるので、合わせて確認していきましょう。
デクラインベンチプレスは、肘関節と肩関節を動作の中で含むため、2つ以上の関節を含む多関節運動種目(コンパウンド種目)に区別されます。
【参考記事】大胸筋全体に効果のあるトレーニング
デクラインベンチプレスの筋トレ効果について
デクラインベンチプレスは、主に大胸筋下部へ有効なトレーニング種目ですが、冒頭で説明した通り三角筋前部の関与が少ないため、その分大胸筋全体へ負荷を与えることができる、効率的な種目と言えます。
そのため、大胸筋下部を肥大させることができる上、腹筋上部と大胸筋下部の境目をよりくっきりと強調することができ、大胸筋全体を肥大することができるので、ボリューム感のある胸元を表現してくれる効果もあります。
また通常のフラットベンチプレスと比較すると、可動域が短くなることで、より高重量を扱えるという特徴があるため、大胸筋に対し大きな負荷を与え、効果的にオールアウト(筋肉を追い込み切る)することができるので、大胸筋の筋肥大を促してくれる成長ホルモンの分泌やテストステロンの分泌を促してくれる効果もあります。
さらに、デクラインベンチプレスで高重量を扱ったトレーニングをすることで、上半身全体の押す動作を含むスポーツやトレーニング種目の出力向上にもつながるため、パフォーマンス向上が期待できます。
デクラインベンチプレスは、適切なフォームで動作することで肩関節への負荷も小さくなるので、通常のフラットベンチプレスと比べて関節周りの安全性が高いトレーニングが可能になります。
【参考記事】大胸筋上部に効果のあるトレーニング
デクラインベンチプレスのやり方とフォームについて
デクライン系種目には、バーベルかダンベルを使用するトレーニング法が存在しますが、ここではまず基本的な
バーベルを使用したデクラインベンチプレスについて解説していきます。
記事の中盤に、ダンベルを使用したデクラインダンベルベンチプレスについても解説していきますので、合わせて確認するといいでしょう。
- まず可変式ベンチ台を15~30度程度に設定します
- 頭が低くなる方向に仰向けに寝ます。
- 両足を足パッドの間にはさみ、体を安定させましょう。
- 肩幅の1.5倍程度の手幅でバーベルを握ります。
- 肩甲骨を寄せ、胸を大きく張りましょう。
- ラックからバーベルを外し、みぞおちの上あたりまで肘を伸ばしたまま移動します。
- これでスタートポジションは完成しました。
- ゆっくりとバーベルをおろしていきます。
- バーベルをおろす前に大きく息を吸い込み、腹筋を締めるように力を入れます。※体幹部安定
- みぞおちの下あたり、胸骨の下・助骨の下あたりを目安にしておろしていきましょう。
- バーベルを垂直に押し上げていきます。
- バーベルを挙げ切ったところで息を吐きます。
- 動作中に息を吐いてしまうと腹圧が抜けてしまい、体幹部の安定が失われ、出力も落ちてしまいます。
- 上記の動作を繰り返していきます。
デクラインベンチプレスのバリエーションについて
デクラインベンチプレスにはいくつかのバリエーションが存在します。
それぞれの特徴を理解し、より効果的なトレーニングにしていきましょう。
ダンベルデクラインベンチプレス
デクラインベンチプレスのバリエーションの一つとして、ダンベルを使用したデクラインベンチプレスも非常に効果的です。
バーベルではなくダンベルを使用することで、バーベルデクラインベンチプレスと比べてより深く肘を下げることができることで広い可動域を活かし、メインターゲットの大胸筋が大きくストレッチ(伸展)されるため、非常に大きな負荷を与えることが出来ます。
しかしバーベルと比べると使用重量は落ちてしまうため、高重量で効かせるというより、大胸筋を可動域目一杯に収縮・伸展させることで効かせる方法になります。
また、バーベルを使用したデクラインベンチプレスでは、パワーラックが必要になりますが、ダンベルを使用したデクラインベンチプレスでは、パワーラックは必要ないというメリットもあります。
スミスマシン・デクラインベンチプレス
スミスマシン・デクラインベンチプレスは、スミスマシンを使用して行うデクラインベンチプレスのバリエーションの一つです。
スミスマシンはバーベルやダンベルといったフリーウェイトとは異なり、バーベルの軌道が固定されているため、前後左右にフォームのブレなく安定したトレーニングが可能になります。
またセーフティバーがついているので万が一潰れてしまってもセーフティバーより下には落ちないので安全性の高いトレーニングができます。
そのため、フォームがまだ安定していない初心者の方にもおすすめな、デクラインベンチプレスのバリエーションになります。
また、バーベルやダンベルを使用するデクラインベンチプレスだと、ウェイトを安定させるために補助筋群が関与するため、負荷が分散してしまう可能性があるのに対し、スミスマシンはその補助筋群の役割であるバーベルの軌道を固定し、安定した動作が可能になるため、大胸筋への関与が高まり純粋に大胸筋のみ鍛えることが出来るというメリットもあります。
フロア・デクラインベンチプレス
https://www.youtube.com/watch?v=5CUmeHjrC0U
デクラインベンチがないときは床やフラットベンチでも、デクラインベンチプレスを行うことが可能です。
床かフラットベンチに仰向けで寝て、両足を立て、腰を高くつき上げることでデクラインの体勢を作ることができます。
本来はデクラインベンチを使用することで、デクラインの体勢を安定的に維持することができますが、床やフラットベンチでは脚でその体勢を作るため、不安定になりやすいので注意が必要なバリエーションです。
デクラインベンチプレスの注意点について
デクラインベンチプレスは頭が低くなる体勢のまま動作するため、注意すべき点がいくつか存在します。
ここで確認して安全で効果的なトレーニングを実践しましょう。
肩のウォーミングアップは入念に
デクラインベンチプレスは、適切なフォームであれば肩関節にウェイトの負荷が乗ってしまうことはありませんが、どうしてもバーベルが頭寄りに上がってきてしまい、肘が開くことでバーベルのウェイトが肩関節に乗ってしまいがちです。
ウェイトの負荷が肩関節に乗ってしまうと、肩を痛める原因になるだけではなく、三角筋前部の関与が高まるため、負荷が分散してしまい、大胸筋に効果的な刺激が与えられなくなってしまう可能性もあります。
そのため、事前に肩関節周りのストレッチを入念に行うことで、柔軟性が向上し怪我のリスクを軽減することができます。
フォームが安定しない場合はスミスマシンを使用する
フォームが安定しない方、初心者の方や慣れていない方はまず、バーベルやダンベルといったフリーウェイトではなく、スミスマシンを使用したデクラインベンチプレスをおすすめします。
スミスマシンは、バーベルやダンベルといったフリーウェイトとは異なり、バーベルの軌道が固定されているため、前後左右にフォームのブレなく安定したトレーニングが可能になります。
またセーフティバーがついているので、万が一潰れてしまってもセーフティバーより下には落ちないので、安全性の高いトレーニングができます。
バーベルの落下に細心の注意を払う
デクラインベンチプレスは、頭が一番低い位置にあるため、万が一バーベルを落としてしまうと大けがに繋がり、最悪の場合死に至るケースもあります。
必ずパワーラックについているセーフティバーを調整して、万が一潰れてしまったり、落としてしまっても大丈夫なように必ずセーフティバーをつける癖をつけましょう。
補助者をつける
デクラインベンチプレスでは、バーベルをラックアップする際やフィニッシュ時に補助者のサポートがあると、安全にトレーニングをすることが可能です。
デクラインベンチプレスは、通常のフラットベンチプレスと比べるとバーベルのラックアップ時や、動作時のコントロールが難しいため、バーベルを落としてしまう可能性があります。
また、デクラインの姿勢では頭が低い位置にあることで、潰れてしまったときに逃げることができない、という危険性があります。
そのため、補助者をつけて行うことで怪我のリスクを軽減した、安全なトレーニングが可能になります。
デクラインベンチプレスをより効果的にトレーニングするポイントについて
デクラインベンチプレスは大胸筋下部のトレーニングとして王道の種目ですが、非常に奥が深く、ただ単純にバーベルを上げ下げすればいいわけではありません。
質の高い負荷を大胸筋に与えることが重要で、そのためにはいくつかのコツがあるのでしっかりと習得しましょう。
マッスルコントロールを意識する
マッスルコントロールとは、筋肉の出力によりウェイトを扱い制御するという意味です。すべての種目に共通することですが、ウェイトの数字通りの負荷を筋肉に与えなければそのウェイトを扱っている意味がなくなってしまいます。
例えば、デクラインベンチプレスでバーベルを下す際に力を抜いて勢いよくおろしてしまうと、100kgのバーベルでもおろす瞬間には、実際に筋肉に負荷として乗っているウェイトの重量は50kgだったり、ゼロになっている可能性があります。
つまり負荷が入っている瞬間と入っていない瞬間があり、負荷が入っている瞬間でもその負荷はウェイトの数字より軽い場合があるということになります。これは非常に効率の悪い、質の低い効果的ではないデクラインベンチプレスということになります。
おろす際も力を抜かず、筋肉にウェイトの数字通りの負荷を乗せたままおろす意識を持つ必要があります。これがマッスルコントロールです。
マッスルマインドコネクションを意識する
マッスルマインドコネクションとは、「筋肉と脳神経のつながり」です。
なかやまきんに君の筋肉ルーレットのように、大胸筋をピクッピクッと動かすのを想像するとわかりやすいかと思います。
彼は筋肉を自由自在に操ることが出来るからこそ、あの芸ができるのです。
筋肉を自在に操ることが出来るということは、筋トレでメインターゲットを効率的に効かせることが出来るということです。
“負荷を感じる”というのもこのマッスルマインドコネクションでは重要です。
トレーニング中にメインターゲットの部位に対し、負荷を感じながら動作させることで、効かせるべき部位だけに効かせることができます。
肘を伸ばし切らない(ロックアウトしない)
肘を伸ばし切ると、バーベルのウェイトは肩関節・肩甲骨に完全に乗ってしまうため、大胸筋の緊張が途切れてしまいます。
肘は「8割程度」まででトップポジションは設定し、伸ばし切らないことで上腕三頭筋の動員も軽減することできるので、大胸筋に対し質の高い負荷を与えることが可能になります。
フライ系種目をあらかじめ行い、予備疲労を作る
メインターゲットである大胸筋をある程度疲労させておくことで、より効かせやすくするという方法です。
軽めの重量でダンベルフライを先に行うことにより、軽い重量のデクラインベンチプレスでも大胸筋にしっかりと負荷を与えることが出来ます。
また、補助筋群(上腕三頭筋・三角筋前部)に負荷が入ってしまい、メインターゲットである大胸筋下部に負荷が入りにくい方も、先に補助筋群に予備疲労を与えることでメインターゲットである大胸筋下部に、効果的に効かせやすくするということも可能です。
デクラインベンチプレスで推奨するサポートギア類について
デクラインベンチプレスをする上で、より安全にトレーニングを行うためにおすすめなギアをここでご紹介します!
リストラップ
手首を保護してくれるリストラップはベンチプレス・ダンベルプレス・ショルダープレスなどのプレス系種目におすすめなギアです。
手首は関節の中でも特に痛めやすく、ウェイトの負荷が最もかかりやすい関節なのでまず最初に用意したいギアになります。
↓リストラップについてさらに詳しい説明はこちら
パワーベルト
腰を保護してくれるパワーベルトはBIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)のトレーニングをする上で欠かせないギアです。
腰を痛めるのを防いでくれるほか、腹圧をサポートしてくれるので体幹の安定や出力向上の効果もあり、リストラップに並んで用意したいギアになります。
全ての筋トレ種目は必ず腰に負荷がかかるので、ぜひとも用意していただきたいギアです。
↓パワーベルトについてさらに詳しい説明はこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか?
デクラインベンチプレスは大胸筋下部のみならず、大胸筋全体を鍛えられる筋肥大に非常に効果的な種目です。
デクラインベンチプレスは前述したとおり、マッスルコントロール・マッスルマインドコネクション・肘をロックアウトしない・予備疲労を作るなど、効かせるコツを意識することでより効果的なトレーニングが可能になります。
しっかりとコツを意識しながら、ただ上下に動かすのではなく、負荷を感じながらトレーニングをすることを意識してみてください。
また、デクラインベンチプレスは多関節運動種目(コントラクト種目)のため、使用重量が重くなりますので、リストラップやパワーベルトなどのサポートギアを使用して関節に安全なトレーニングも心がけましょう。
1度怪我をすると、完治するまでその部位を鍛えることができなくなるため、その期間に筋肉を失ってしまう上、他の部位のトレーニングにも影響が出る可能性まであり、最悪な結果となってしまいます。
デクラインベンチプレスは、様々なスポーツやその他トレーニング種目へのパフォーマンス向上にも期待ができるので、筋肥大や見た目が良くなるだけではなく、実用性のある筋力をつけることもできます。
大胸筋下部のシルエットをくっきりと出すことで、他の男子達とは一目置かれる存在になること間違いなしです!
分厚い胸筋は男としての威厳や存在感を表現してくれる頼もしい筋肉であり、服をかっこよく着こなせるという効果もありますので、ぜひこのデクラインベンチプレスでしっかりとトレーニングをして、かっこいい胸筋を手に入れてください!
“No pain No gain”
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AKI
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