Vシットアップで腹筋を引き締め、鍛えていく筋トレの、より効果アップを目指すコツと注意点を解説していきます。Vシットアップは宅トレで器具なしでできる自重トレの集大成ともいえる筋トレメニューです。トレーニングの難易度も低くないため、正しい方法で行うことでシックスパックを目指し、体幹も強くなり、パワフルな足腰のために効果が期待できる腹筋トレのコツを見ていきましょう!
この記事の目次
Vシットアップの腹筋筋トレとは?
クランチのバリエーションの一つでもあり、腹筋に効かせる基本のトレーニングから、より難易度がアップしたエクササイズです。
Vシットアップのメインターゲットは腹直筋と腸腰筋、サブターゲットは大腿直筋。自重トレの基本の腹筋メニューの集大成ともいえます。
Vシットアップでシックスパックが割れた憧れの腹筋を目指すのはもちろんですが、人間の日常生活に重要な『足腰』といえる腸腰筋と大腿直筋、さらには腿の裏の筋肉、ハムストリングスを同時に刺激することができるトレーニングです。
シットアップとの違い
呼び名が紛らわしいので違いを説明しますと、
- 『シットアップ』は一般的な腹筋運動として認識している、床に仰向けになったところから上体だけを起こす筋トレです。
- 『Vシットアップ』は上体とともに両脚も床から上げていき、体は『V』の体勢になることからこのように呼ばれます。『Vシット』『Vアップ』とも呼ばれています。
Vシットアップは何を鍛えるメニューか
Vシットアップでは主に、体幹屈曲と股関節屈曲の動作が鍛えられます。
体幹屈曲とは、上体を起こすときに、脊柱を丸めることで体幹(胴体)を曲げる動作をいいます。
股関節屈曲とは、同じく両脚を持ち上げるときに、股関節を折り曲げるような動作をいいます。
体幹屈曲の動作で腹直筋が鍛えられる
腹直筋にダイレクトに負荷がかかり、特に、ポッコリ緩みがちな腹直筋下部を使います。
腹筋の構造についてはこちらで詳しく解説しています。
股関節屈曲の動作で腸腰筋を鍛える
腸腰筋とは、大腰筋、小腰筋からなり、骨盤、大腿骨へ繋がり、股関節を上げたり屈曲させる、まさにインナーマッスルの筋肉。
動画の内容
- 左右に開いている骨盤の中に腰骨筋があります。骨盤の中の赤い部分です。(片側の筋肉だけで始まります)
- 次に現れるのが大腰筋。腰椎の第一腰椎から第五腰椎の突起から腰骨の前面に現れる、より大きな筋肉群です。
- 腰骨筋と大腰筋は共同の腱となり 大腿骨の小突起まで伸び、鼠径(そけい)部の靭帯として骨盤を包む様子が見て取れます。
- 腸骨筋と大腰筋が腸腰筋群です。
股関節屈曲の動作で大腿直筋を鍛える
大腿直筋とは、大腿骨を起点として太腿の前面にあり、股関節の屈曲、膝間接の曲げ伸ばしを行う筋肉
動画は大腿四頭筋の様子で、腿(もも)の筋肉のつき方と動きがわかります。47秒あたりの〈 Le quadriceps fémoral〉から、腸腰筋から繋がる大腿直筋が、膝の運動に関わる様子を見ることができます。
Vシットアップは超初心者向けではない
筋肉の構造と関与する動作がわかると、腹筋の筋トレもとても興味深くなってくると思います。腹筋の筋トレメニューはそれぞれ負荷のかかる場所が違います。
他の腹筋メニューとの違い
それぞれの身体能力や運動の経験によりますが、Vシットアップは筋トレのレベルとしては〈初級の上〉くらいからです。クランチからニートゥチェストまでは、難易度が比較的低く、初心者から取り入れたい、腹筋トレーニングです。
また、全ての筋トレメニューは腹直筋に効くものの、体幹屈曲を行う点でシットアップが、加えて股関節屈曲も行うという点でVシットアップは難易度が高くなります。例えば、腹筋の力だけでは難しい、大腿直筋やハムストリングスの筋力のベースが必要です。
ケガや腰痛を防ぐためにも、Vシットアップに取り組む前に基本の5つのメニューに慣れておきたいですね。
家トレでできる5つのメニューの基本を例に、負荷がかかる筋肉の場所を見てみましょう。
クランチ | 腹直筋、腹斜筋と腹横筋 |
---|---|
ブランク | 腹横筋、腹直筋、内・外腹斜筋プラス臀筋 |
レッグレイズ | 腸腰筋、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉) |
レッグツイスト | 腹斜筋を絞ってウエストラインをスッキリ |
ニートゥチェスト | 腹直筋、内・外腹斜筋、大腿直筋 |
シットアップ | 腹直筋、腸腰筋、大腿直筋 |
Vシットアップ | 腹直筋、腸腰筋、大腿直筋、ハムストリングス |
Vシットアップの腹筋への効果
家で器具なしでできる自重トレとしては、憧れの割れたシックスパックを目指して積極的に取り組みたい筋トレではないでしょうか? Vシットアップでは腹直筋に表れる変化以外にも、腸腰筋と大腿直筋の働きに注目すると、目に見えない多大な効果を期待できることがわかります。
デスクワークで1日中座っている状況を想像してみるとわかりやすいですが、腸腰筋を長時間を縮めていると、立ったときも股関節が座った状態=縮んだまま!が解消しきれず、積もれば股関節の動きが硬くなり、姿勢も歩き方もなんか美しさもエネルギーも足りない、という状態になりがちです。
階段の上り下りなどは股関節と大腿直筋の働きですので、これらの筋肉がエイジングや足元のパワーと安定に及ぼす影響は計り知れません。
Vシットアップアップは魅せびらかしたい腹筋と同時に、パワフルで若々しく稼働する『足腰』の強化と維持に繋がりますので、やり方のコツとケガを防ぐための注意点を押さえて取り入れていきましょう。
基本のVシットアップのやり方
動画はフランス語ですが、呼吸のタイミングがよくわかりますので、口から出る呼吸の矢印と呼吸音にも注目してご覧下さい。「レスピラシオン」が呼吸のことです。
- スタートポジション:仰向けにのびのびと寝そべり、両腕を頭の上に伸ばし、踵を床から少し浮かせた姿勢になり、息を大きく吸う。
- 息を吐きながら上体と両脚を同時に持ち上げて『V字』になる。Muscle droit de l’qbdomen=腹直筋に効いている
- V字体勢になるときに、両腕は床に平行に、前に伸ばしてバランスをとる。
- 息を吸いながら両腕と両脚を伸ばしたまま同時に、元の位置にゆっくり戻る。
回数の目安とスパン
目安を記載しますが、回数にこだわらずにトレーニングに慣れて、今できる限界を焦らず超えていくことが大切です。
- 始め:1セット10回を3セット
- 慣れてきたら:1セット15回を4セット
- 物足りない:1セット25回を5セット
1回のセットを週に2、3度を目安に行います。
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Vシットアップのコツ8つ
- 腹筋の筋トレは深い呼吸が特に大切です。
- スタートポジションで両腕を頭の上に伸ばしたときに、腕の幅を肩幅より広く取らないようにしましょう。腕の幅を広くとると負荷がアップ!します。(後ほどVシットアップのバリエーションとしてご紹介します)
- 仰向けになるときは意識して伸びやかに。スタートで縮こまっているとエクササイズも上手くいかないものです。
- 『V字』を目指しますが、最初は『Y』のような緩やかな『V』から始めて、慣れてきたら『鋭いV』にしていきます。
- 床に接触するお尻は普段の『椅子に座るお尻』よりも、『腰の上の方』で座ります。
- 腕と上体と脚が同時に動くようにします。
- 上体を起こすときに、『起こす』という意識よりも『脊柱を一個一個起こしていく』ように、それが背中を丸める動作に繋がり、最終的に上体が起き上がるイメージを持つとやりやすくなります。
- 脚を上げていくときの股関節を屈曲は、表面的な関節ではなく、股関節周りの奥の方の筋肉(=腸腰筋)織り込むようなイメージで行います。
効果アップのための座り方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
Vシットアップの注意点5つ
- 元の位置に戻ったとき、足は床に着地せずに浮かせたまま、次へ続けます。
- V字の体勢になったときに、膝を曲げないように真っ直ぐに保ちます。
- 反動をつけて素早く行わないように、じっくり行います。
- 腰を痛めないために正しいフォームで行います。
- 反動をつけて勢いで行わないことも腰痛を防ぐ面から重要です。
また、支えなしでV字バランスをとるために、腰と首にかかる負担は少なくありません。座り方がよくなくても余分な負担がかかります。トレーニングとしてまだキツイかも?と思った場合はムリは禁物です。
Vシットアップを負荷のレベル別にご紹介
基本のVシットアップは初心者には負荷が大き過ぎる?
基本のVシットアップは、両腕、両脚を伸ばして行うため、なかなかにキツいのが正直なところですので、基本のVシットアップの前段階としてベントニー・Vシットアップから始めるといいでしょう。
1. ベントニー・Vシットアップ
ベントニーとは? bent (曲がった)+ Knee (膝)という意味です。
膝を曲げて行うことで負荷が軽くなります。
やり方
- スタートポジションは、仰向けにのびのびと寝そべり、両腕を頭の上に伸ばし、両脚を伸ばして足を床につけて息を大きく吸います。
- 息を吐きながら、上体を丸めるように起こしていきます。
- 両腕を前に、床と平行に伸ばしていきます。
- 同時に両膝を胸に引き寄せます。
- 息を吸いながら、スタートポジションにゆっくり戻ります。
コツ
基本のVシットアップと同様に、座る位置に気をつけて、腕、上体、足が同時に動く、正しい呼吸を行うことです。ベントニー・Vシットアップで滑らかな動きを掴むと、より負荷が大きいVシットアップに進めることと思います。
2. 脚を伸ばし、腕を前に伸ばすVシットアップ
ベントニー・Vシットアップに慣れたら、いよいよ両脚を伸ばして行ってみましょう。このVシットアップに慣れたら、両腕を上げて行う基本のVシットアップに進みましょう。
やり方
- スタートポジションは仰向けにのびのびと寝そべり、両腕を頭の上に伸ばし、両脚を伸ばして息を大きく吸う。
- 息を吐きながら、上体を丸めるように起こしていく。
- 両腕を前に、床と平行に伸ばしていく。
- 上体と両脚を同時に上げてV字になる。
- 息を吸いながら、スタートポジションにゆっくり戻る。
元の位置に戻るとき、足を床につけずに行うとより強い筋トレになりますが、最初は無理をせずに、足をつけたり手をついたりしながら滑らかなエクササイズを目指しましょう。
コツ
両脚を伸ばして行うことで、腿の後ろ、ハムストリングスの力も意識します。
中上級者向けのバリエーション
ワイドVシットアップ
中上級者向けのVシットアップです。両腕両脚の幅を広くとることで、腹直筋と腹斜筋を鍛えることができます。
ワイドVシットアップのやり方
- スタートポジション:仰向けにのびのびと寝そべり、両脚を肩幅より広くとり、両腕も肩幅より広く、頭の上に伸ばす。
- 仰向けになった体のラインは、真上から見るとエックス=X
- 息を吐きながら上体を丸めるように、
- 腕と脚の幅は広いままをキープして、両脚も同時に持ち上げて『V字』になる。
- 息を吸いながら両腕、両脚を伸ばしたまま、元の位置にゆっくり戻る。
回数の目安
- 始め:1セット10回を3セット
- 中級:1セット15回を4セット
- 上級:1セット25回を5セット
注意点
V字の体勢になったときに、膝を曲げないように真っ直ぐに保ちます。
元の位置に戻ったとき、足は床に着地せずに浮かせたまま、次へ続けます。
Vシットアップキープ
やり方
- スタートポジション:仰向けにのびのびと寝そべり、両腕を頭の上に伸ばし、両足のかかとを少し浮かせて息を大きく吸う。
- 息を吐きながら上体を丸めるように、両脚も同時に持ち上げて『V字』になる。
- 両腕は天井を目指して高く伸ばす。
- この体勢をキープする。
- 息を吸いながら両腕、両脚を伸ばしたまま、元の位置にゆっくり戻る。
- できる時間を伸ばしていく。
このエクササイズはムリ〜という場合は、前出の、〈2. 脚を伸ばし、腕を前に伸ばすVシットアップ〉でのキープから行うといいでしょう。
キープするときの注意
息を止めないことです。血圧が上がる可能性がありますのでV字をキープといっても呼吸しながら行うように気をつけましょう。
体勢をキープするメリット
一定のフォームを維持することで、体は動かさないものの、筋肉は力を出している状態になります。これはアイソメトリックトレーニング、略してアイソメトリックスとも呼ばれます。『アイソ』は『同じ』、『メトリック』は『長さ』を意味し、筋肉の長さを変えずに筋肉の運動をすることをさします。
わかりやすい例では腕相撲、女性ならバストアップのために胸の前で両手に力を入れて合わせるエクササイズの経験がある方も多いと思います。代表的な筋トレではプランクがあります。
アイソメトリックでは場所をとらず器具を使わずに行えて、動かなくても筋肉を刺激して筋力をつけていくことが出来るのがいちばんのメリットといえます。隙間時間を見つけて筋トレするには打って付けですね。
静かな筋トレですが、『キープ』にこだわるよりも、腹筋の筋トレの一つとして組み入れるのがいいでしょう。キープのあとは十分なストレッチが大切です。腹筋の場合は、バランスボールを使うなどして収縮した筋肉を伸ばしておきたいですね。
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Vシットアップでもっと負荷を大きくしたい場合
手にダンベルを持ってVシットアップを行うことで負荷が大きくなり、二の腕や肩も同時に鍛えることができます。
ダンベルの選び方、使い方など〈ダンベルのすべて〉をこちらの記事で詳しく解説しています。
Vシットアップに使えるダンベル選び
Vシットアップができない場合
レベル的には、ベントリーVシットアップから始めます。
体勢のバランスが取れない場合は、先に前出のように、床に座るお尻が椅子に座るときと同じになっていないか、もう一度確認してみましょう。エクササイズのレベルが高いと感じたら、ニートゥチェストをやり直したり、基本の5つのメニューに戻ってみるとどの筋力が弱いのか?鍛えるべき筋肉に気づくこともあります。
まとめ
- 筋トレの難易度としては初級の上くらいです。基本の腹筋トレに慣れてから、無理をしないように取り入れていきます。
- 最初はベントニー・Vシットアップから、徐々に負荷を大きくしていきます。
- 正しい呼吸、じっくり行うことでシックスパック、腸腰筋、大腿直筋、ハムストリングスに効かせることで、引き締まった腹筋とインナーマッスルを強くしていきます。
Vシットアップにマンネリを感じたら
自重トレは時として気分が重くなることがありますよね。そんなときは小さな筋トレグッズ、腹筋ローラーを使ってみませんか?道具を使うことで気分転換にもなり、体の向きも仰向けからうつ伏せの体勢に変わるのでとてもおすすめです。
腹筋ローラーを使った筋トレはこちらの記事で解説しています。
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