腕立て伏せは自分の体重を利用して筋肉にパワーをつけられる、筋トレの基本的なエクササイズ。
腕や大胸筋など上半身のトレーニングに加え、腹筋や体幹トレーニングにも効果が及びます。
言うことなしの筋トレですね。
ただし、手軽にできる筋トレだからこそ無意識のうちに自己流で行い、間違った運動になってしうまうことがよくあります。
筋力アップするためには腕立て伏せのエクササイズの特徴をよく知ること。
そして、最も重要なことは “正しいフォームで行うこと” につきます。
プッシュアップにかかる負荷は体重の約6割。
それほど重さがかかるのに、もし間違った腕立て伏せを続けると?
努力が報われないばかりか、思わぬケガを招く心配も出てきますね。
この記事では以下のことを解説・紹介します。
- 間違ったフォームで腕立て伏せを行なっていないか?
- 腕立て伏せは簡単と間違った認識をしていないか?
- 大胸筋にしっかり効く腕立て伏せができているか?
- 膝をついた腕立て伏せについて
ケガを防いで筋トレでモリモリ効果を上げるために、あなたの腕立て伏せを再度確認しましょう。
改善が必要な場合には、紹介する10のチェックポイントを参考にしてくださいね。
この記事の目次
腕立て伏せ:10のチェックポイント
それでは、正しいフォームができているか、初めの1歩から順にチェックしましょう!
腕立て伏せの正しいフォームを形作る「基本のき」です。
これらを間違えてしまうと正しい姿勢を維持すること自体が辛くなってきます。
鏡でフォームをチェックしたり、誰かに写メやビデオを撮ってもらったりしながら確認することがおすすめですよ。
以下、10のチェックポイントです。
- 手のひらの位置と役目は間違っていないか?
- 肘に負担をかけていないか?
- 腕の幅は効かせたい筋肉に合っているか?
- 腕立て伏せのフォームがT字型になっていないか?
- つま先とかかとはきちんと揃えているか?
- 頭は上下していないか?
- 反ったりアーチ状になったりで腕立て伏せをしていないか?
- 伏せたときに肘の向きが間違っていないか?
- 上体を押し上げることに必死になりすぎていないか?
- 呼吸はしっかり吸って吐いているか?
1. 手のひらの位置と役目は間違っていないか?
腕立て伏せをするとき、手の平をなんとなく体を支えやすい方向に置いていませんか?
手の平が外側を向いていたり、内側を向いていたりしていないかどうかを確認しましょう。
改善法
- 手の平の向き:内側でも外側でもなく真っ直ぐに置く。中指を真っ直ぐに、親指がしっかり内側を向いている
- 手の指の間隔:閉じ気味でも開き気味でも好みではあるけれど、閉じているより開いた方が力が出る
手の平全面と指も5本全部を使って腕立て伏せをすることを忘れずに!
改善後のメリット
手首関節の怪我を防ぎ、正しい腕立て伏せの姿勢を保つ基礎作りとなります。
手の平と指の5本をしっかり意識することで、腕立て伏せの運動はよりパワフルなものとなるでしょう。
上の画像は後ほど動画でご覧いただけますのでお楽しみに!
2. 肘に負担をかけていないか?
床についた両手を肩のラインより前に置いたり、逆に胸に近いところに置いていないでしょうか?
改善法
両手の場所は、一般的には肩と同じラインに置くと言われていますが、おすすめしたい黄金ポジションは肩と乳首の間。
- 手が肩より前にあると→肘が振り回されるように肘への負担が大きくなる
- 下すぎると→肩で頑張る腕立て伏せになってしまい肩に負担がかかる
改善後のメリット
肘や肩に負担をかけず、腕や胸筋に効くベストな位置になります。
自分でその場所を見つけるのに時間がかかるかも知れませんが、意識して腕立て伏せを行えば必ずここだ! という場所があります。
3. 腕の幅は効かせたい筋肉に合っているか?
腕の幅が、効かせたい筋肉の腕立て伏せに合った広さをとっているかどうかも大切です。
改善法
腕立て伏せは鍛えたい筋肉によって腕を広げる幅が変わってくる。基本的には伏せた時に両腕の間に胸が収まる、肩幅よりわずかに広く取るが、以下のバージョンも覚えておく。
- 幅を狭く取ることで床と体の距離が離れる→三頭筋に効く
- 幅を広めに取ることで床と体の距離が近づく→大胸筋に効く
改善後のメリット
腕の長さにもよりますが、負荷をかけたい筋肉に対する適正な幅を見つけることで腕立て伏せの効果は確実にアップします。
4. 腕立て伏せのフォームがT字型になっていないか?
チェックポイント1から3までの「手と腕の位置」のまとめです。
手を肩より前に伸ばして腕の間隔を広くとってしまう人が割と多いのですが、その体勢を空から見るとTの字のような形になっています。
T字型はなぜ間違いかというと、残念なことに上腕三頭筋にも大胸筋にも負荷があまりかかりません。
せっかく腕立て伏せをするのですから、上半身の筋肉にはしっかり効かせたいですよね。
改善法
*画像は膝をつく腕立て伏せ(記事の終わりの方で説明)
腕立て伏せの体勢はこれ、T字型ではなく矢印型です。
改善後のメリット
上腕三頭筋や大胸筋筋に効かせる筋トレになります。
T字型より矢印型の方が可動域が大きくなるためですね。
5. つま先とかかとはきちんと揃えているか?
足を揃えることの重要性には、気がつきにくいかも知れませんね。
しかしプッシュアップであなたの体を支えるのは腕だけではなく、足も体重と運動を支えています。
先の画像にように足を開くやり方もありますが、それは中級以上向け。
初心者であればまず、足を閉じて揃え、行ってください。
改善法
改善後のメリット
腕のエクササイズだけに頼らず足を意識することで、腹筋や体幹、背筋に及ぶ筋トレになります。
6. 頭は上下していないか?
腕立て伏せをするとき、顔を上げて前方を見ていないでしょうか?
はたまた、苦行に耐えるがごとく首をうなだれて床を見下ろしていませんか?
頭の位置が間違っていると腕立て伏せの正しいフォームが取れなくなってしまいます。
改善法
腕立て伏せのフォームをとったら、腕の長さにもよるが両手の間を見るようにする
- 遠くがよく見えるということは→頭が上がりすぎ。立っている状態なら、首がのけぞっている感じになっている
- 両手が見えていないということは→頭がうつむいていて背中を丸めて、鍛えたいはずの胸が落ちている状態を招いてしまう
普段立っているときの良い姿勢で視線は真っ直ぐなまま腕立て伏せのフォームを取りたいので、遠くが気になったりうつむきがちであれば見つめる場所に目印を置くとよい。
改善後のメリット
頭の位置が正しいと、呼吸が楽にできます。
さらに、プッシュアップで胸筋を鍛えられる姿勢を保つことに繋がりますよ。
頭の位置は重さの負担がダイレクトに首や背中に影響するため、正しい位置でトレーニングをすることはとても重要。
首や背中に負担をかけず、怪我の予防にもなります。
7. 反ったりアーチ状になったりで腕立て伏せをしていないか?
腕立て伏せで床に鼻をつけようと頑張るあまり、気がついたら背中が反っていたり、お尻が上がって体がアーチ型になっていたりする方がたくさんいます。
床に鼻がついたと達成感に浸っていないでしょうか?
または、腰や膝がついたら腕立て伏せをしたということにしていないでしょうか、自分で思い返してみてください。
改善法
改善後のメリット
腕立て伏せで効果出すには、体の背面を橋のように真っ直ぐにし、それを維持することが大切です。
上体が反ったりお尻が上がってしまうと頭の位置が変わります。
遠くが見渡せていたり、お腹辺りに視線がいったりするのは間違いです。
フォームが整わないことで肝心の筋肉に負荷がかからなくなるため、至急改善していきましょう。
8. 伏せたときに肘の向きが間違っていないか?
伏せたときに、負荷をかけたい筋肉と肘の方向が合っていなければ、効率的に筋肉を刺激できません。
改善法
伏せたときの肘の向きは、手の間隔と同様に効かせたい筋肉によって変わる。
- 三頭筋に効かせたいなら→肘は体に沿っている
- 大胸筋に効かせたいなら→肘は比較的外側を向いている
改善後のメリット
三頭筋か大胸筋かで肘の向きを変えましょう。
刺激を入れたいターゲットの筋肉への効果が期待できます。
9. 上体を押し上げることに必死になりすぎていないか?
伏せの体勢から気力で上がろうとしていないでしょうか。
目的は、体を持ち上げることではなく、腕や胸の筋肉を刺激することです。
改善法
改善後のメリット
元の直立体勢に戻る助けになります。
10. 呼吸はしっかり吸って吐いているか?
腕立て伏せを頑張るあまり、息が止まっていないかを確認しましょう。
息の吸うタイミングや息を吐くタイミングは決まっています。
呼吸の仕方は適当ではいけません。
改善法
腕立て伏せの呼吸の基本
- 腕立て伏せの正しいフォームが取れたら、息を口から十分に吐き出し、鼻で息を吸いながら伏せていく。息を背中で十分に吸い込むことで、大胸筋はゆったりと広がる
- その息を口でフーッと音が出るように吐きながら元の体勢に戻る
⇨⇨つまり、息を吸いながら伏せ、息を吐きながら元に戻る
改善後のメリット
正しい呼吸法を身に付けることで、腕立て伏せの効果をアップできます。
普段の呼吸はほぼ無意識ですが、エクササイズに合わせて深く呼吸することで大筋肉がすごく喜びますよ。
余談ですが、現代人の胸の薄さや首、肩こりは、日頃の呼吸が浅いことと無関係ではありません。
胸の上の方だけの浅い呼吸が続くと、大胸筋下部の腹直筋が固くなります。
腕立て伏せをすると正しいフォームで正しく深く呼吸するようになるため、大胸筋に響き、厚みのある胸を作るのに有効なわけですね。
腕立て伏せのフォームが間違っていた!対処法
腕立て伏せの回数をこなすこだわりを捨てよう
その1回は、本当に胸を張って言える1回でしょうか?
腕立て伏せの回数を伸ばしたいあまり、ちょこっと肘を曲げたら1回とカウントしていませんか?
可動域を十分に使っていない、呼吸が伴わない軽い腕立て伏せでは鍛えたい筋肉に効いてきません。
回数をこなそうとするあまり1回の負担を少なくしてしまうのは残念なことです。
正しいフォームで可動域を十分に使ったシットアップは、決して楽ではありません。
そもそも、正しいフォームを維持できなかったり腕の力や腹筋が強くなかったりすると、効果を期待できる腕立て伏せはできないものです。
上腕三頭筋に効かせるなら回数をこなすことが大切。
しかし、内容のある1回を積み重ねることはもっと大切です。
腕の力、腹筋の力を見直すには、こちらの記事で詳しく書いています。
【間違いをなくす対策】膝をついて行う腕立て伏せ
腕立て伏せでは腹筋や体幹が鍛えられるのですが、腹筋や背筋が弱いとうまくいきません。
そのため、先に腹筋や背筋をしっかり鍛えるか、サポートを受けながら腕立て伏せをすることがおすすめです。
腕立て伏せの正しいフォームを体に覚えさせながら徐々に筋トレを進めて行くために、膝をついて行う腕立て伏せから始めてみるようにしましょう。
膝をついた腕立て伏せのやり方を動画でチェック!
- 準備:膝を床で擦らないように薄いクッションなどでガードします。黒ずみやすい所ですのでサポーターをつけてもOK。
- やり方:腕の幅を肩幅よりわずかに広めの、両腕の間に胸がすっぽり収まる感じで両手を床につく。
大事なことは、回数にこだわらず、フォーム+呼吸+可動域いっぱいの運動を意識することです。
動画は筋トレ熱欧州3位のフランスのサイトを用意しました。
音声なしで基本がピンポイントで説明されていますよ。
以下に出てくる言葉を記載しますが、必要ないくらいわかりやすいのでぜひご覧ください。
3レベル構成で最後はバリエーションになります。
注目すべきは、どんな体勢になっても基本は変わらないところ。
圧巻ですよ。
レベル1:A GENOUX 膝をついたシットアップ
- Ecarter les mains légèrement plus que la largeur des épaules
腕を肩幅よりわずかに広く広げる - conserver un angle droit au niveau du coude
肘を直角に保つ - Conserver l’alignement épaules-hanches
肩の中心とお尻を一直線に
レベル2:JAMBES TENDUES 脚をピンと張る(この人は足をつけていません)
- Conserver le regard entre les deux mains
目線は両手の間 - Allonger la nuque et rentrer le menton
首を伸ばして顎を引く - Appuyer sur la paume des mains
手の平でしっかり支える
レベル3:応用
- Alterner main gauche/droite sur la poitrine
左右の手を交互に胸に - Conserver l’alignement bassin-épaules
肩と骨盤をまっすぐ保つ
腕立て伏せを大胸筋にしっかり効かせたいなら
大胸筋は大きく3つの部位に分かれています。
- 上部は鎖骨から下
- 中部はバスト、胸骨周辺
- 下部は腹直筋に繋がる辺り
腕立て伏せで大胸筋中部を鍛えるには、手の間隔を肩より広く構えます。
開き加減がわずかに違っても大胸筋への効き方が違ってきますので、肩幅から握りこぶし1個くらいずつから徐々に遠ざけてみるといいでしょう。
腕が広がるほど胸筋が広げられ肘関節の屈曲が緩やかになるため、三頭筋への負荷が少なくなります。
大胸筋下部を鍛えるには上半身をベンチなどを使って高くし、腕立て伏せを行ってください。
腕の間隔はやはり広めにとりましょう。
いずれの腕立て伏せも、間違いのないフォームで可動域を十分に使った “価値ある1回” をじっくりこなしていくことが大切です。
大胸筋を鍛える意外なメリット
見た目のカッコよさだけではなく、腕立て伏せで大胸筋が鍛えられているということは、柔軟性のある肩、腕、胸を持っていることでもあります。
現代の習慣病の一つでもある巻き肩の予防にも、大いに役立ちます。
また、呼吸を深く正しく行うことで、心身にゆとりが感じられるようになりますよ。
効果が出ない? 腕立て伏せのバリエーションを取り入れる前に
頑張ってるわりには思うように胸が厚くならないしお腹も締まらない。
そんなときは「こうなったら腕立て伏せのバリエーションに挑戦してみよう」と思いますよね。
しかしながら、ここまで腕立て伏せの間違い探しをチェックしてみた結果はいかがだったでしょうか?
改善できそうな点が幾つか見つかったのではないでしょうか。
正しいフォームで呼吸を意識して十分に稼働している腕立て伏せができて、それが1回です。
新しいエクササイズに取り組む前に、正しいフォームで効果的な1回を続けられるようになっておきましょう。
焦らず怪我なく、正しい腕立て伏せで筋トレ効果を上げてくださいね。
↓腕立て伏せで筋肥大させるための回数と頻度について詳しくはこちら♪
腕立て伏せの効果を上げるおすすめ筋トレ器具:プッシュアップバー
プッシュアップバーを使用する事で、大胸筋を効果的に鍛えられます。
プッシュアップバーを使用して得られるメリットは下記3点です。
- 大胸筋に強いストレッチを加えられる
- 手首が床に対して垂直になるので大胸筋にそのまま負荷を乗せられる
- 手首の怪我を予防できる
商品を選ぶさいに気をつけて頂きたいのは、耐久性・安定感・快適性・コスパです。
以上を全て網羅しているのが記のおすすめ商品ですよ。
おわりに
間違いのない正しいフォームの腕立て伏せ、なかなか奥が深いですよね。
結構大変な筋トレだと挫折してしまいそうに感じたりしますが、正しい姿勢をとることで筋力も十分に発揮できます。
間違ったフォームでのエクササイズは、効果がないばかりか体も辛いはず。
正しいフォームがわかると筋トレがグッと楽になるのが実感できますよ。
他にもある! 腕立て伏せに関する記事♪
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